<第89回選抜高校野球>1回戦 呉、激戦耐え逆転勝利 延長十二回、愛知・至学館に6−5 「粘りの野球」アルプス沸く /広島

 <センバツ2017>

 イチクレらしい粘りの野球ができた−−。センバツ初出場の呉は19日、観客約4万5000人が見守る開会式直後の開幕試合で、延長十二回の末に6−5で至学館(愛知、初出場)に勝ち、新たな歴史を作った。試合は得点すればすぐに追いつかれる接戦となり、アルプス席の応援団は大きな声援で池田吏輝(りき)投手(3年)の160球の力投や選手たちの攻撃を支えた。2回戦は大会第6日の第2試合(24日午前11時半開始予定)で、3年ぶり7回目出場の履正社(大阪)と戦う。【竹下理子、真栄平研】

呉(広島)

  010010002002=6

  100020010001=5

至学館(愛知)

 (延長十二回)

 延長十二回裏2死二塁、相手チームの攻撃。1点差に詰め寄られ、三塁側アルプス席に陣取った呉の応援団はマウンドの池田投手の投球に全神経を集中した。「吏輝がんばれー!」。叫ぶような応援が響く。

 打球は三塁へ。次の瞬間、三塁手と走者がぶつかり、塁審が守備妨害でアウトを宣言。少し間を置き、スタンドに勝利の喜びが広がった。「え? やった! 勝った!」。野球部の応援団長、森本敬太さん(3年)の目から、大粒の涙がこぼれた。

 初回に先制された。だが、二回に4番打者、新田旬希主将(同)が単打で出塁し、同点の1点につなげる。弟岳冬(がくと)さん(10)と姉ひよりさん(18)が「流れを作るのはすごい」と目を輝かせた。

 同点で迎えた五回には、青木勇樹選手(3年)が池田投手の左犠飛で生還して勝ち越し。カープの得点時と同じ「宮島さん」のメロディーで「今日もイチクレは勝ーち勝ーち勝っち勝ち」とスタンドは盛り上がる。

 だが、その回の裏に2点を返された。池田投手が中学時代に所属したクラブチーム「広島瀬戸内シニア」の伊藤大生監督(39)は「こんなこともある!」とマウンドの教え子に向けて大声で叫んだ。

 2点リードされ、後がない九回表。だが、保護者会長の上垣英夫さん(53)は余裕の表情だ。「普段通りの力が出せている。ここから何かが起こると思いますよ」。予言通り、代走の金谷亮選手(2年)が好走塁し、上垣内勇允(ゆうい)選手(3年)と池田投手の連続二塁打で同点に。金谷さんの父豪さん(43)は「甲子園を息子が走っているなんて」。兄である池田投手に憧れ、4月から呉野球部に入る駿さん(15)は「投打で活躍してかっこいい」。今年夏、兄とこの舞台に立つ自分の姿を思い描いた。

 延長十二回表の攻撃は、相手の失策と柏尾健太捕手(3年)のスクイズで2点を入れた。何年も前から呉を応援しているという中村信彦監督の孫紳士朗さん(10)は、自分の名前が入ったイチクレの練習着で部員らと応援。「今日が一番強い」とナインにガッツポーズを送っていた。

 ◇呉PR曲で応援

 ○…甲子園のアルプス席では、呉の攻撃前に呉市のPR曲「呉ー市ーGONNA(ゴナ)呉ー市ー」を吹奏楽部が演奏し、選手を鼓舞した=写真。音楽ユニット・TRFのヒット曲の替え歌。藤若杏奈部長(3年)は「呉ならではのネタっぽい元気が出る曲」と笑顔で話し、野球部の応援団員らも「市呉の意地を見せろ 広島の夢を乗せて」の歌詞に乗せて、選手たちに思いを届けた。試合後、藤若さんは「みんなすごく頑張っていて感動した」。

 ◇アルプス青一色

 ○…呉の応援団は、瀬戸内海をイメージしたスクールカラーの青色のタオルを首に掛けて応援し、アルプス席一面が海のように染まった。保護者などでつくる「硬式野球部を支援する会」(藤原俊尚会長)が3000枚を用意し、試合前にOBや生徒、ツアーの応援客らに配布した。頭上でタオルを一斉に回すパフォーマンスも行い、呉市立昭和北中学の村中大成さん(13)も「選手は呉市のヒーロー。頑張ってほしい」と笑顔で参加していた。

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 ◇失点、打で取り返す 池田吏輝投手(3年)

 エースとして「3点以内に抑えてゲームを作る」目標を自らに課していた。だが、八回に4点目を許し、2点リードされてしまう。「自分で取り返そう」。そう心に誓い、池田吏輝投手(3年)は九回表の打席に立った。

 前の打者の上垣内勇允選手(同)が1点を返し、1死二塁の場面。4球目を右中間に打ち返す適時二塁打で4−4の同点に。その回の裏を3者凡退に抑え、延長に持ち込んだ。

 度胸が自慢。だが、この日は最初、緊張で手が震えた。15日の甲子園練習の後、弟駿さん(15)に「(呉の練習グラウンドの)虹村と変わらなかった」とマウンドの感想を答えたのに、試合の重圧は大きかった。

 160球の力投は、マウンドに届いた応援団の大声援が支えた。インコースの直球が決まり、変化球も生きた。最長で10回しか投げたことがなかったが、「体力的には大丈夫だった」。次は履正社。「相手は優勝候補。自分の力がどこまで通用するか、楽しんで投げたい」と力強く語った。【竹下理子】

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