<福岡事件>発生70年 無実訴えるも75年、死刑執行 玉名の古川さん「風化させない」 全国70カ所、再審訴え講演会 /熊本

 終戦直後の1947年、福岡市で日本人と中国人の商人2人が射殺された「福岡事件」は5月で発生70年を迎える。主犯格とされた西武雄元死刑囚は、無実を訴えながら75年に死刑が執行された。冤罪(えんざい)を信じて再審請求運動に生涯をささげた玉名市の僧侶、古川泰龍さん(享年80)の長男龍樹(りゅうじ)さん(57)は「風化させない」と1年かけて全国70カ所で「再審運動キャンペーン」を実施する。

 「真実が闇に葬られてしまう世の中でいいのか」。19日に熊本市中央区の教会であった講演会で龍樹さんはそう語った。講演会は今年だけで既に17カ所目。参加者が数人の会場もある。それでも「一人の心を動かすことは大変だが、自分にしか伝えられない」と全国に出向いて事件の不可解さを訴え続ける覚悟だ。西さんが拘置所で残した句や仏画などの遺品展も開催する。

 福岡事件では7人が逮捕され、西さんは物的証拠がないまま56年に死刑が確定。75年6月17日に死刑が執行された。西さんの遺族らは2005年、死刑執行後としては異例の再審請求を福岡高裁にしたが、09年に請求棄却。現在、再審請求権を持つ家族がいなくなり「再審運動は行き詰まっている」(龍樹さん)という。

 泰龍さんは生前、教誨(きょうかい)師として刑務所の面会や手紙で西さんの無実の訴えを聞いた。拷問などで自白を強要されたと考え、事件現場を自ら歩き、証人に話を聞いて「真相究明書」を作成した。法務大臣に執行差し止めを直談判。国は泰龍さんに教誨師の差し止めを命じたが、00年に亡くなるまでわらじにゴム底を縫い付け、托鉢(たくはつ)しながら全国を回った。龍樹さんは「父のわらじを引き継ぎ、国民一人一人に事件を伝えていきたい」と話す。講演の依頼など問い合わせは生命山シュバイツァー寺(0968・72・3111)。【柿崎誠】

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