<ビキニ被ばく>「不認定」訴訟準備 元船員ら高齢化考慮し /高知

 1954年に米国が太平洋ビキニ環礁付近で実施した水爆実験を巡り、被ばくや健康被害を訴えて県内の元船員らが全国健康保険協会に求めた事実上の「労災認定」が認められなかったことを受け、元船員らを支援する市民団体「太平洋核被災支援センター」(宿毛市)は10日、決定処分取り消しを求めて訴訟準備を進めることを決めた。元船員らは既に厚生労働省に対し、不認定を不服として審査請求に向けた手続きを進めているが、元船員らの高齢化を考慮し、結論がより早く出る可能性がある訴訟も有効と判断した。【松原由佳、岩間理紀】

 元船員や遺族は16年2月に集団申請し、協会は昨年12月、元船員ら11人に対して不認定を通知した。元船員らは決定を不服として、2月上旬までにも厚労省関東信越厚生局に審査請求する予定。

 通常の手続きでは審査請求後、決定に不服がある場合、国の審査機関「社会保険審査会」に再審査請求もできる。しかし元船員らの高齢化が進み、結論が出る時期も見通せないため、並行して訴訟準備に踏み切った。全国健康保険協会などによると、審査請求から2カ月経過すれば、処分取り消しを求めて訴訟を起こせる。同センターの山下正寿事務局長(73)は「(不認定の決定が出るまでも)2年待たされた。このままずるずる続いては高齢の元船員たちにとって厳しい」と話した。

 ◇核被災検証会、健保協会の報告書批判 科学的視点で分析

 またビキニ環礁付近で米国が実施した水爆実験を調査する「ビキニ核被災検証会」(山下正寿事務局長)の第10回検証会がこの日、高知市の「平和資料館・草の家」であった。昨年12月に県内の元船員らが全国健康保険協会に求めた被ばくによる「労災認定」の不認定を受け、広島大の星正治・名誉教授(放射線生物・物理学)が、同協会が公開した報告書について科学的視点から分析した。

 星名誉教授は、報告書が外部被ばく線量の計算に用いた太平洋上のモニタリングによる米国のデータについて、放射性物質混じりの雲が流れ、被ばくした場合の「ホットスポット」が測定結果に表れないことなどを指摘。当時の研究者の調査では第五福竜丸の被ばくは「1600〜7000ミリシーベルト」となるのに、報告書のデータに基づき計算すると「0・08ミリシーベルト」にしかならず、「大きく異なる評価方法を使ってどうなるのか」と批判した。

 さらに「100ミリシーベルトは原爆被爆者などでがんなど(の健康被害)が見える線量で一つの目安」と述べ、報告書が放射線による健康影響が現れる程度の被ばくを否定する一方で、「『放射線による健康影響があるとされる100ミリシーベルトを十分に超えていた船員の方がいた』と表現すべき」と指摘。「私たちの示したデータを批判するが、自分たちのデータこそ真摯(しんし)に見つめるべき」などと語った。

 また、参加した内藤雅義弁護士は原爆訴訟に携わる立場から「被ばくが一人一人の人生にどのような影響を与えたか、個別事例を積み上げることが重要」と話した。

 また会合では、3月4日に核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞記念として「ピースボート」の関係者らを招いたシンポジウムを高知市内で開く方針も明かした。

スゴ得でもっと読む

スゴ得とは?

関連記事

おすすめ情報

毎日新聞の他の記事もみる

中国/四国の主要なニュース

高知 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

地域 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

地域選択

記事検索