<岩倉温泉>極楽の湯、笑顔咲く 大水で被災、半年ぶり再開 励ましの言葉、復興の力に 大仙 /秋田

 昨夏の記録的大雨で被災し休業していた老舗温泉旅館「岩倉温泉」(大仙市南外)が7日、約半年ぶりに営業を再開した。名湯の復活を待ち望んだ地元住民や温泉ファンらが次々と訪れ、“極楽の湯”を楽しんでいる。【山本康介】

 岩倉温泉は山奥にある秘湯で、創業は370年以上前。湯質は弱アルカリ性で神経痛や筋肉痛、さらには保温効果が高いとされる。「100%源泉掛け流し」も人気で、全国各地から温泉好きが足を運んでいた。

 大水が旅館を襲ったのは、昨年7月22日午後7時半ごろ。目の前を流れる雄物川水系の湯元川が氾濫し、建物の至る所から泥水が流入。たちまち床上70センチほどまで水位が上がり、畳がめくれたり厚めのガラスが割れたりした。湯船にも泥が大量に入り込み、茶色く濁ってしまった。

 当時館内にいた10代目社長の佐々木康了(こうりょう)さん(58)は「(昨年7月上旬の)九州北部豪雨は知っていたが、人ごとだと思っていた。まさか秋田が被害に遭うとは。怖かった」と振り返る。

 すぐに復旧作業を開始。だが既に入っていた宿泊の予約をキャンセルし、さらに「『大曲の花火』に合わせて宿泊したい」といった問い合わせも断らざるを得なかった。佐々木さんの気持ちは沈み、「一刻も早く再開したかったのですが、『本当にできるのか……』と途方に暮れていました」。

 復興の原動力は、支援してくれた人たちの存在だった。遠方に住む常連客から「体に気を付けて」「また泊まりに行くから頑張って」などと励ましの電話が相次いだ。

 ボランティアにも背中を押された。岩手県北上市のNPO法人「パワーアップ支援室」は昨年10月まで計30回通い、床下の泥かきや石灰での消毒作業を手伝った。同法人の本舘淳代表理事は「『同じ東北人だから』という気持ちが大きかった。伝統ある旅館の復興のための一助になれればと思った」と語った。

 客室などの畳を張り替え、復旧工事は昨年12月に終了。幸いなことに、温泉の水質には全く影響がなく、営業再開にこぎつけた。再開初日の7日には、30人以上日帰り入浴客が来館した。

 保険や、行政からの見舞金などのバックアップはあったが、全国の常連客たちから送られた寄付も多かった。佐々木さんはその真心に胸が熱くなったという。「支援してくれる人がいなかったら立ち上がれなかった。恩返しの気持ちを込め、より一層のおもてなしをしたい」とほほ笑んだ。

 入浴料は日帰り400円(宿泊者は無料)で、午前10時〜午後6時。問い合わせは同館(0187・74・2345)。

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