<防府市長選>あすへの課題/上 中心街整備 揺れる市役所移転案 /山口

 こどもの日の5日、防府市中心部の栄町商店街は例年になく静けさが漂っていた。30年以上続いていた子供向けイベント「カリヨンカーニバル」が、主催者の栄町商店街振興組合の破産により、今年から消えたからだ。

 原因は、1980年代に商店街の魅力向上のため進めた、道路のれんが張り化や時計台の整備だった。県から約1億1000万円を借りて充てたが、返済できず今年3月、破産手続きを終えて解散した。

 延滞金を含む最終的な未返済額は約4000万円。大型店舗の進出の影響で組合員数が激減し、資金繰りに行き詰まったという。組合最後の理事長でカフェ店主の下村千穂子さん(50)はミニSLの運行やヤマメ釣りで盛り上がった過去のカーニバルを懐かしみ「毎年来る人のためにも続けたかったが……」と寂しげな表情を浮かべた。

 市によると、栄町など中心商店街の空き店舗率は18%(昨年10月現在)。市は空き店舗へ出店する事業者を後押しするため、2分の1を上限に家賃を2年間補助するなどの施策を用意するが、復興の兆しは見えない。テナント業から撤退する人の増加に伴い、空き地や有料駐車場が目立つようになり、景観面でも「防府の中心」の衰退は一目瞭然だ。

 その象徴が、JR防府駅から北へ200メートルの市有地(約7200平方メートル)だ。元々国鉄の官舎があった土地で、街の活性化を狙って市土地開発公社が80年に買い取った。だが活用できないままバブルが崩壊し、2000年に市管理へ移行。県の文化施設誘致や、民間活力の導入を模索したが、40年近くたった今も塩漬け状態が続く。

 市は昨年3月、この土地に市役所を移転新築する基本計画をまとめた。しかし、市民や議会の反発を受け、現在地をもう一つの候補地として比較検討することを余儀なくされた。基本計画策定後としては異例の措置で、市役所が移転しなければ土地の活用策は振り出しに戻る。

 担当者は「人口減少社会に対応できる持続性の高い都市を目指すうえで、核となる中心街の整備は重要だ」と語るものの、具体的な対案は見えてこない。 前振興組合理事長の下村さんは「公有地に箱物を建てたところで起爆剤になるか」と市の考え方そのものに懐疑的だ。「本気で防府を良くしようと思う人はたくさんいる。やる気を支援することをまず行政に求めたい」。下村さんは今、市内各地の異業種の女性経営者たちと一緒にスタンプラリーイベントに取り組んでいる。

    ◇

 連続5期務めた松浦正人市長が引退を表明し、防府市の市長が20年ぶりに交代する。20日の市長選告示を前に、市の課題と争点を追った。

〔山口版〕

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