<この体験記を書いた人>
ペンネーム:グレイ
性別:女
年齢:53
プロフィール:数年前の顔のケガ。いまだ残る傷跡を見て後悔していることがあります。
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今から数年前。
孫が小学2年生の時、頬にケガをして帰ってきました。
そうなった原因は、学校の休憩中に起こったちょっとしたトラブルです。
ある女の子が遊びでエスカレートしてしまったのか、校内で全力疾走。
そのままの勢いで孫にぶつかり、その勢いで孫は結構な勢いで転倒。
そしてロッカーの角にぶつかり、頬をざっくりと切ったのです。
事の顛末、見た目の痛々しさなどには、正直怒りがこみ上げてきました。
しかし、担任の先生からの繰り返される謝罪、丁寧な事情説明、低学年の間で怒ったトラブルということもあり、「目くじら立てるのもよくないのかも」という思いに至りました。
それに、この時の相手が孫の仲良しさんだったこともあり、冷静に冷静にと自分に言い聞かせました。
「先方の親御さんには事情を話しています。きっと連絡があると思います」
担任の先生からはそう告げられましたので、その連絡を待つことに。
しかし、それから数日、待てど暮らせど相手の親から連絡が来ることはありませんでした。
正直「これだけの怪我をさせておいて連絡もしないなんて」と腹立たしい気持ちが再燃。
早速家族で話し合いです。
相手にこちらから連絡をするかどうかについて、それぞれ意見を出し合いました。
その目的は、まずは孫に謝ってほしいこと。
そして、今後同じことを起こさないように、相手の親御さんからお子さんに注意を促して欲しいということでした。
この思いは家族全員同じだったのですが、連絡する、しないでは意見が別れることに。
夫と私は連絡する派で、娘はしない派。
娘はこう言いました。
「正直とても腹が立つ。けど、この事を聞いて連絡しないならそういう人なのだろう。こちらから連絡すると余計にややこしいことになる。子ども同士の関係を思うとそれは避けた方がいいと思えるから、連絡はしない方が良いと考えた」
腑に落ちないながらも、一理あるなと。
それに、私は今の時代がそういうものなのかもしれないないと、一旦は飲み込むことに。
結局、この事で相手方と話をすることはなく、この時負ったケガは、孫の顔に小さな傷跡を残しています。
とはいえ、これはもう何年も前のこと。
忘れていた出来事でした。
そんなある日、学校から帰ってきた孫が「今日ね、お友達が怪我をして大変だったの」と話してくれました。
よくよく聞いてみると怪我をしたのは孫の仲良しのお友達。
登下校もクラスも一緒の体の小さい女の子でした。
そして怪我をさせたのは孫の顔に傷を負わせたのと同じ女の子だったのです。
事の顛末も孫の時とほぼ同じ。
雨の日の校内で、あの女の子が走り回っていたところ通りかかった女の子にぶつかったのだそう。
ぶつかられた女の子は体が小さかったため、吹き飛ぶ形で机にぶつかったみたいなのです。
この時、女の子は大泣きしたものの、幸いケガそのものはそんなにひどくはなかったと聞き胸をなでおろしたのですが......。
「あの時やはり親に抗議をしておけば、今回のケガはなかったかも」
「このままだと、いつか大きな事故につながるのでは?」
そんな考えが頭をもたげ、後悔の気持ちでいっぱいになりました。
私たちの時と今の子育ては確かに違う。
そしてトラブルが起こった時の対処も、きっと違うのだろうと思うのです。
しかし、時代が変わったとしても、人としての大切なことは変わってはいけないはず。
娘に自分の思いを伝えるべきでしたし、やはり抗議もするべきでした。
それが実ろうが実るまいが。
孫の頬に残る小さな傷跡を見ながら、そんな風に思う私なのです。