舞台衣装作家の岡本孝子さんに「きもののリフォーム」について教えていただく、定期誌「毎日が発見」の人気企画。今回ご紹介するのは、これからの季節にぴったりなロングカーディガン。羽織をほどいて作ります。
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ゆるやかなAライン。さらりと羽織るだけでおしゃれです
着丈がひざ下くらいまである長羽織で作った1枚。
羽織の身頃幅を生かしているので、たっぷりと絹をまとうように着られます。
えり元のドレープもポイント。
おそろいのストールも
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ストールは羽織の四角いえり布を利用。ロングカーディガンと合わせれば楽しみの幅が広がります。
色違いでもう1枚。袖をたくし上げて軽やかに
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色柄の違う羽織を使うとまた雰囲気が変わります。この素材は透け感のある夏ものの紗。短めの丈がスポーティな印象です。着用しているのは作者である岡本孝子さん・82歳。
風薫るこれからの季節にぴったりのロングカーディガン。
素材は、岡本さんの箪笥に何年もしまったままだったという羽織です。
羽織はもともとは防寒のためにきものの上に着るもので、正装ではありません。
かつて打ち掛けを着ていましたが、明治から大正時代にかけて長羽織が、昭和30年代までは丈の短い羽織が流行しました。
作品のうぐいす茶色は長羽織から、紺色は短い羽織から、それぞれの丈をそのまま利用して作ったもの。
丈の差があるのはそのためです。裏地を外しているので軽く、絹本来のしなやかさを味わえます。
共布のベルトを付けました
2003p115_02.jpgベルトは羽織のえり布の余りで作ったもの。背中で結んで後ろ姿のアクセントにしています。
えり、袖、まち...。
羽織のパーツそれぞれの形を少し変えるだけ

2003p116_01.jpg岡本さんが描いたラフデザイン画。
羽織のぬい目をほどくと、全てのパーツが四角い布に戻ります。
ロングカーディガンは、その四角い布を服にふさわしい形に変えて、もう一度ぬい合わせたものです。
例えばえり。
羽織だったときには折り畳んでいましたが、ほどいて広げれば約36×200cm。
その大きさを生かして二つに切り分け、一方はロングカーディガンのえりに、もう一方はストールやベルトに使っています。
それぞれのパーツの形(下写真)を見てみましょう。

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→後ろえりにタックを取ります
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えり布を首の後ろ部分だけ畳んでぬい、タックを取っています。
そのタックから下が自然に広がり、着たときにえり全体に緩やかなドレープが生まれます。
→ストールは羽織のえり布から
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羽織のえり布はもともと約36×200cm。
ストールはその一部を利用した細長く四角い形です。
→袖の先をすぼめて...
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袖は、羽織の袖の形を変えて袖先をすぼめました。
ひじのあたりまでたくし上げると、ふわりとした提灯形になり表情が変わります。
→後ろ中心にスリットを
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羽織の身頃の形をそのまま生かしてスリットを入れました。
歩みに合わせて裾が揺れる効果があります。
裾が足にまとわりつかないので歩きやすいのもうれしいところです。
作り方は定期誌『毎日が発見』で紹介していますので、興味がある方はどうぞ。
取材・文/飯田充代 撮影/木下大造

岡本孝子(おかもと・たかこ)さん

1937年、東京生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。1987年より劇団SCOT主宰の鈴木忠さんとともに舞台衣装制作に携わる。現在もオペラなど多くの舞台衣装を作り続けている。プライベートではきものをリフォームしてはおしゃれを楽しんでいる。