鼻づまりや鼻水が止まらない、においが分からない...などの症状のある副鼻腔炎。生活にも支障をきたし、生活の質も低下させます。今回は東京女子医科大学病院 耳鼻咽喉科教授である野中 学先生に「副鼻腔炎」の原因やセルフチェックの方法を伺いました。
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喘息の治療も同時に進めるべき
蓄膿症は昔からよく知られた病気です。
一方、近年日本で患者数が増加しているのが好酸球性副鼻腔炎。
蓄膿症とは炎症の起こる仕組みが異なります。
「好酸球は、白血球の一種でアレルギー反応に関わります。好酸球が副鼻腔にたくさん集まってきて炎症を起こすのです。粘膜の激しい炎症で嗅覚障害を起こしやすく、粘膜が垂れ下がる鼻茸(鼻のポリープ、下の図を参照)がたくさんできると、鼻づまりがひどくなります」と野中先生は話します。
治療では、副鼻腔にたまった鼻水や膿を吸引した上で、ネブライザーという噴霧装置で治療薬を副鼻腔へ送るのが基本です。
鼻茸がある場合は、内視鏡により鼻茸を切除する手術も行います。
また、鼻腔への小さな通り道が閉鎖され、個々の換気が悪くなった副鼻腔を一つの空洞にし、空気の通り道を良くする「単洞化」という手術方法もあります。
「単洞化で空気の通り道が良くなると再発予防につながります」と野中先生は説明します。
さらには、好酸球の暴走を抑えるためのステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカストなど)といった薬の投与など、治療は充実していますが、再発しやすいのが好酸球性副鼻腔炎の特徴です。
2015年3月、国の指定難病になりました。
「好酸球性副鼻腔炎が治りにくいのは、好酸球の暴走が全身に及ぶからです。喘息や好酸球性中耳炎も好酸球に関わります。特に喘息は、好酸球性副鼻腔炎の患者さんの約3割が合併しており、喘息が悪化すると好酸球性副鼻腔炎も悪化するといった悪循環に陥ります」
こう説明する野中先生は、好酸球性副鼻腔炎を単なる副鼻腔の病気と捉えるのではなく、喘息も合わせた一つの病気という観点から、喘息を治療する呼吸器内科と連携した治療を実践しています。
その結果、再発を抑制することに成功しているそうです。
「空気の通り道として、鼻腔や副鼻腔は上気道、気管支は下気道で、気道として一つにつながっています。国際的には、好酸球性副鼻腔炎と喘息も一つの病気と考えているのです」
喘息は気管支に炎症が起こり、好酸球性副鼻腔炎は副鼻腔に炎症が起こります。
いずれも好酸球がたくさん集まることで炎症につながっているのです。
一方の治療だけでは好酸球の暴走は治まりません。
同時に治療することが大切なのです。
においが感じづらくなる鼻茸(はなたけ)とは?
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鼻茸とは、鼻や副鼻腔の壁(粘膜)が炎症で腫れて垂れ下がってできたもので、鼻づまりやにおいを感じづらくなる原因になります。
1つだけの場合もあれば、複数できる場合もあり、片側だけではなく両側の鼻の中にできることもあります。鼻道(びどう)とは、鼻の中の空洞のことで、上鼻道、中鼻道、下鼻道に分かれています。
慢性化膿性副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎の主な違い
黄色っぽい鼻水が慢性化膿性副鼻腔炎、粘り気のある鼻水が好酸球性副鼻腔炎など、症状は微妙に異なるので注意しましょう。2003p088_01.jpg
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

東京女子医科大学病院耳鼻咽喉科教授・講座主任

野中 学(のなか・まなぶ)先生

1985年日本医科大学卒業。2007年日本医科大学耳鼻咽喉科准教授、10年東京女子医科大学耳鼻咽喉科准教授、12年東京女子医科大学耳鼻咽喉科臨床教授、18年より現職。慢性副鼻腔炎治療のエキスパート。