上まぶたが垂れ下がり視界が狭くなる「眼瞼下垂」。早い方は、40代から発症するそうです。今回は日本医科大学武蔵小杉病院 眼科・眼形成外科講師の村上正洋(むらかみ・まさひろ)先生に皮膚弛緩症との違いや、原因、症状について伺いました。
pixta_48016585_S.jpg
上まぶたが垂れ下がって視界が妨げられてしまう
眼瞼下垂(がんけんかすい)
【主な原因】
・加齢をはじめ、ハードコンタクトレンズや一部の緑内障点眼薬の使用などで挙筋腱膜が伸びてしまう。
・類似した疾患に、伸びた皮膚が垂れ下がり視界を遮る「皮膚弛緩症」がある。
40代から発症肩こりや頭痛も引き起こす
「眼瞼下垂」とは、上まぶたが垂れ下がり視界が狭くなる状態のことをいいます。
まぶたを上げる筋肉は眼瞼挙筋を中心に構成され、膜状の挙筋腱膜を介してまぶたの縁にある瞼板(けんばん)という板状の組織につながっています。
眼瞼挙筋が縮むと挙筋腱膜が瞼板を引っ張り上げ目が開く、という仕組みです。
この挙筋腱膜が伸びてしまうと、まぶたを上げるのが困難になり「眼瞼下垂」を引き起こすのです。
視界が狭まると日常生活にも支障をきたします。
視界を確保するため、目を大きく開こうとし、おでこに深いしわができます。
また、おでこにかかる負担が後頭部や肩の筋肉にまで波及し、頭痛や肩こりにつながることも少なくありません。
原因の多くは加齢によるものですが、ほかにもハードコンタクトレンズや緑内障の点眼薬(プロスタグランジン関連薬)による刺激が挙筋腱膜の負担となり、それが蓄積するとたるんでしまいます。
早い人では40代から発症し、70代ともなるとより顕著に症状が表れます。
「眼瞼下垂」はセルフチェックができます。
本来、目を開いた状態だと上まぶたは角膜(黒目)の少し上にかかる程度です。
それが瞳孔(黒目の中心)にかかるようなら「眼瞼下垂」を疑っていいでしょう。
混同しやすい疾患に「皮膚弛緩症」がありますが、こちらはたるんだまぶたの皮膚がまぶたの縁を越えて垂れ下がった状態。
「眼瞼下垂」同様、視界を遮りますが、余った皮膚を手術で切り取れば治ります。
チェックの際は、まぶたが瞳孔にかかっているかどうか、観察しましょう。
ただし、両者の合併もしばしばみられます。
眼瞼下垂と皮膚弛緩症の違い
2003p091_01.jpg
挙筋腱膜が正常な状態なら、まぶたが瞳孔にかかることもなく、視界も保たれる。
 
2003p091_02.jpg
瞼板を引き上げるはずの挙筋腱膜が伸びてしまい、まぶたが瞳孔にかかってしまう。
 
2003p091_03.jpg
まぶたの縁ではなく、まぶたの皮膚がたるんで、瞳孔にかかる。
眼瞼下垂の主な症状
・目が細くなる、小さくなる
・上方が見にくい、視界が狭い
・目が開けにくい
・まぶたが重い
・肩こり、頭痛がひどい
見た目の変化から症状に気付く場合もあれば、まぶたが開けにくくなって気付く場合も。
肩こりや頭痛が気になり医療機関で診てもらったら眼瞼下垂だった、ということもある。
取材・文/名嘉山直哉 イラスト/片岡圭子

日本医科大学 武蔵小杉病院 眼科・眼形成外科講師
村上正洋(むらかみ・まさひろ)先生

1989年日本医科大学卒業。医学博士。同大学武蔵小杉病院形成外科教授を経て、現職。多くの眼瞼形成外科手術を行う。視機能と整容の両立を目指す眼瞼形成手術を広める活動をライフワークとする。