<この体験記を書いた人>
ペンネーム:kame
性別:女
年齢:53
プロフィール:テレビの故障がきっかけで娘の成長を感じることができました。
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私には27歳の娘がいます。
早めに結婚して、残念なことに離婚に至り、 その孫を連れ実家の我が家に戻ってきました。
それ以来約5年間ずっと一緒に生活しています。
そんな我が家のテレビが壊れたのが約1年前。
ついさっきまで普通だったテレビの画面が突然真っ暗になり音しか出ません。
まだ買って5年ぐらいだったので修理も考えましたが、サポート期間が過ぎていたこと、テレビの修理代が高そうだと思ったこと、修理の期間は待てないと考え、思い切ってテレビを買い換えることに決めました。
そこで、その日の夕食時事の顛末を家族に話し、「週末に買いに行くからそれまで我慢してね」と伝えたところ、孫達からはブーイングの嵐。
孫は二人ともまだまだ幼い年齢の7歳と5歳。
数日間でもテレビが見られないなんて大問題だったのでしょう。
そんな孫達をなだめつつ、「ちょっとの間だけ我慢してね」と言い聞かせました。
すると翌日、なんと娘がテレビを買って帰ってきたのです。
業者さんを伴って。
「いったいどうしたの?」きっと私は目が点にでもなっていたのでしょう。
私の様子を見ながら娘がクスクス笑っています。
続いて娘の口から出てきたのが、「ここは私に任せて」という頼もしい言葉。
これにもまたビックリさせられた母なのです。
何が起こっているのか理解できないまま事はどんどん進みます。
「ど、ど、ど、どうしたの?」と驚く私に娘はこう伝えてくれました。
「我が家でテレビを一番見てるのは子供達でしょ。だったら私が買うべきだと思ったの。私、これでもママだからね。それに、二人とも週末まで待ちきれないみたいだし、テレビがないとじいじもばあばも子守りが大変だと思ったから、仕事切り上げて買いに行って、今日の設置をお願いしたの」
この言葉にとっても感動しました。
何年か前の娘なら考えられない言動でした。
以前の娘は、実家なら生活費は出さないのが当たり前、出すにしても2万円まで。
それ以上は絶対に出さない! そんな事を堂々と言ってのける子だったのです。
ここには、親としての責任感のかけらも感じず、落胆したことを覚えています。
その後も、生活費を巡って何度も親子喧嘩をしながら、お互いが納得できる金額を取り決めることができたのです。
この出来事から何年も経っていますが、この時の悪いイメージが私の頭の中にべったりと張り付いていました。
その娘が家族のためにテレビを買って帰ってきたのですから、驚かないワケがないのです。
それに、フルタイムで働いてるとはいえ、娘は決してたくさんの収入を得ているわけではありません。
ですので、娘にとってテレビは大きな買い物のはず。
そして何より、テレビを待ちきれない子供たちへの思い、私たち親への配慮を思うと、「成長したんだな、この子」としみじみ感動しました。
27歳という娘の年齢を考えると、これくらい当然と思われるかもしれません。
バカな親だなんて笑われるかもしれませんが、それでも私はいいのです。
この出来事を通して、娘の成長を感じられたのですから。
人の成長は人それぞれの速度でOK。
早い人もいれば、ゆっくりの人がいたっていいと思うのです。
止まりさえしなければ。
何が娘をこんな風に変えたのかは正直わかりません。
でもきっと、社会の中で収入を得ること、生活を成り立たせることの大変さをどこかで感じ取ったのではないのかな? 
そんなふうに考えています。