体の痛みや見た目の老けにつながりやすい「猫背」。慈恵医大リハビリテーション科の安保雅博さんと中山恭秀さんは、「背中がまっすぐになると、若々しく元気に見える」と言います。そこで、そんな2人の著書『丸まった背中が2カ月で伸びる!』(すばる舎)から、丸くなる原因と寝たままできる簡単トレーニングの一部を連載形式でお届けします。
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体は姿勢を記憶する
体は姿勢を記憶します。
背中を丸めていると、それで体が固定されてしまいます。
体のゆがみというのも、ゆがんだ姿勢で座ったりを長期間続けることで、体がその姿勢を「覚えてしまった」結果と言えます。
たとえば力もしっかりあって、背筋も伸ばせるような若者でも、だらしなく丸い背中を長く続けていると、次第に脊椎を固定している靭帯の張りが低下し、円背でいることが基本姿勢というように変わってしまいます。
若いうちに直せば、筋活動によりまっすぐに保つことはできますが、ゆるんだ靭帯などはなかなか張りを戻せなくなるため、次第に円背が強くなるといったことにつながります。
疲れるからと、背中を丸くして座っていると、ますます姿勢が悪くなってしまいます。
ピンポイントで背筋に効く運動を
ではどうしたらいいか。
それには運動、ちょっとした筋トレをすることです。
筋力は年をとっても上がることは証明されています。
少しの運動でも継続することで、確実に上がります。
「筋力がある」とはどういうことかというと、筋肉を増やすという意味ではありません。
筋肉の数は決まっていて、増えたり減ったりすることはないのです。
そうではなく、1本1本の筋繊維を「太らせる」ことです。
筋力がある人は、つまり筋繊維が「太い」のです。
逆に筋力がない人は、筋繊維が「やせ細っている」ということになります。
では、どうしたら筋肉を太らせることができるか。
ひとつしか方法はありません。
それは、筋肉を「収縮させる」こと。
筋肉に負荷をかけることです。
背筋が衰えるのは、言い換えれば普段あまり収縮させていないから。
前項でも述べたように、人間の体は前に向かって動くようにできているため、前側の筋肉はよく発達しますが、後ろ側の筋肉はあまり活発には使われません。
そこで、背筋力をアップするには、背筋をピンポイントに鍛えられる運動、筋トレをするのが効率的です。
私の現場での経験では、筋トレを続けたら2ヵ月もすれば確実に効果が出てきます。
これまで鍛えていなかった分、効果が出るのも早いのです。
1日10回動かせば、365日で3650回の収縮をしたことになります。
1日30回を朝昼晩行えば90回、3万回以上になります。
何もしてない方の0回と比べれば一目瞭然、もちろん筋活動はくり返すことで、より効果があります。
そして、今後の衰えも圧倒的に防いでくれます。
1日の中で背中をまっすぐにする時間を増やす
また、実は「意識して姿勢をまっすぐにする」ことこそ、最大の筋トレなのです。
背中をまっすぐにすることが、重力に逆らう=負荷のかかることなのですから、それだけで筋肉を使っていることになります。
背中を丸くしている時間が長ければ、背筋は使われず、ますます衰えます。
そうなると、さらに背中をまっすぐにするのがつらくなり......と、悪循環に陥ります。
反対に、背中をまっすぐにする時間を長くすることで、背筋は鍛えられ、まっすぐにすることがつらくなります。
とはいえ、1日中背中をまっすぐに保つというのも、大変なこと。
まずは背筋を少しずつ鍛え、同時に日常の姿勢も気をつけるようにしてみてください。

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安保雅博(あぼ・まさひろ)

リハビリテーション科医/博士(医学)。東京慈恵会医科大学附属病院副院長。リハビリテーション科診療部長。リハビリテーション治療のパイオニア。脳卒中後遺症が専門。重度麻痺に対する筋肉注射のボツリヌス療法は有名。これまで1万5000回以上の施行を行う。

 

中山恭秀(なかやま・やすひで)
理学療法士/博士(リハビリテーション科学)。東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科技師長。広島大学医学部客員教授。2013年から分院技師長を経て現職。4つある附属病院の統括所属長として、多くの理学療法士や作業療法士等を束ねる。