体の痛みや見た目の老けにつながりやすい「猫背」。慈恵医大リハビリテーション科の安保雅博さんと中山恭秀さんは、「背中がまっすぐになると、若々しく元気に見える」と言います。そこで、そんな2人の著書『丸まった背中が2カ月で伸びる!』(すばる舎)から、丸くなる原因と寝たままできる簡単トレーニングの一部を連載形式でお届けします。
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リハの現場で培った、入院中でも可能な方法
背筋を鍛える筋トレをご紹介します。
背筋のトレーニングと言うと、すごい運動ではと思ってしまうかもしれないですが、そんなことはありません。
寝たまま、座ったままできる、ちょっとした運動。
名づけて「ズボラ筋トレ」です。
けれども、筋トレ効果はバッチリあります。
私は理学療法士して日頃、病気や怪我などで入院中の患者さんの治療を行っています。
多くの方が手術後であり、すぐに起き上がることができません。
けれども、安静にしたままでは筋力はどんどん落ちていってしまいます。
寝転がった状態や座った状態でも、筋力を衰えさせないよう、「少しの動きで大きな効果のある」運動は何か、試行錯誤してきました。
ご紹介するのは、リハビリテーションの現場で実際に行い、成果の出ているものです。
「頭の重さ」を負荷として利用する
手軽に効果的に筋力トレーニングを行う方法は、「重力に逆らう」動きをすることです。
重力を筋トレに利用するのです。
たとえば肘を曲げる場合、座った姿勢で手のひらを上に向けて肘を曲げる動きをすれば、重力に逆らった動きになります。
ダンベルなどを持てば、よりいっそう筋トレになるのはたしかですが、何も持たず重力に逆らう動きをするだけでも、十分な負荷となるのです。
では、背筋を鍛えるために、重力に逆らう動きはどのようなものになるでしょうか。
ポイントは、「頭の重さ」を利用することです。
頭はとても重く、大きな負荷です。
これほどの筋トレの道具はありません。
「上体をそらし、頭を引き上げる」だけで、重力に逆らい、背筋力が鍛えられます。
同時にストレッチで関節可動域を広げる
ストレッチは筋肉を伸ばすことです。
筋トレは筋肉を鍛えますが、ストレッチは筋肉を鍛えません。
けれども、筋肉の柔軟性は非常に重要です。
筋肉はあえて伸ばすことをしないと伸びませんから、筋トレだけでは柔軟性は手に入りません。
また、運動の前にストレッチをすることで、筋トレの効果がより上がるという側面もあります。
ストレッチにより、関節の可動域が広がり、さらに体をラクに動かしやすくなります。
ラクにできて効果が高い「子犬のポーズ」
うつぶせに寝てみましょう。
そして、下の図ように、手と肘(これを前腕と言います)をついた状態で、上体を起こします。
子犬のポーズ、パピーポジションと呼ばれる姿勢です。
1分ほどキープしたら、またうつ伏せ状態に。
また手と肘をついて上体を起こし......とくり返します。
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床と水平なところから上に向けて、上体を持ち上げるのは、もっとも重力に逆らい、負荷がかかる動作です。
そのなかでも、手の力、肘の力を使って上体を起こす、この運動はラクにできるものです。
まずはやさしいところから入っていきましょう。
主に、背中の上部の筋肉を鍛えます。
手や肘で床を押すのを少しセーブして、背中を意識して上体を起こせば、より背筋強化になります。
さらに、上の図のように、首をそらす運動をプラスすると、首の筋を強化できます。
ゆっくり3秒程度の時間をかけて天井を見て、下ろします。
イラスト/中村加代子

107-H1-marumattasenaka.jpg寝たままできるズボラ筋トレや効果アップのストレッチなど、全4章で慈恵医大リハ式メソッド大公開

安保雅博(あぼ・まさひろ)

リハビリテーション科医/博士(医学)。東京慈恵会医科大学附属病院副院長。リハビリテーション科診療部長。リハビリテーション治療のパイオニア。脳卒中後遺症が専門。重度麻痺に対する筋肉注射のボツリヌス療法は有名。これまで1万5000回以上の施行を行う。

 

中山恭秀(なかやま・やすひで)
理学療法士/博士(リハビリテーション科学)。東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科技師長。広島大学医学部客員教授。2013年から分院技師長を経て現職。4つある附属病院の統括所属長として、多くの理学療法士や作業療法士等を束ねる。