4月から、75歳以上の人を対象に、いわゆる「フレイル健診」が始まりました。これまで75歳以上の人が対象の健康診断で活用されてきた質問票に代わり、フレイルの状態でないかを確認する「後期高齢者の質問票」を導入。心身の衰えを早期に把握し、改善を図ることが目的です。
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筋力などの身体機能が低下し、心身ともに弱った状態を「フレイル」といいます。
そういった人を把握し、介護予防の助言などをするため新たな健診制度がスタートしました。
75歳以上の人を対象に、既存の後期高齢者健診の中に「フレイル健診(正式名は後期高齢者の質問票)」が加わります。
健診は、受診者が質問票に回答する形で行われ、健康状態や社会参加の状況など15の質問で構成。
「フレイルが疑われる人には、栄養や運動などの生活習慣や社会的な活動状況など、一人一人に適した指導を行うことが重要です」と、秋下雅弘先生。
フレイルの原因は老化や栄養状態、歯の問題、嚥下機能や認知機能、社会性の低下などさまざまですが、大きな一因に、筋肉量と筋力が減少し、身体活動能力が衰えたサルコペニアがあります。
サルコペニアは、簡単にチェックできます。
やり方は、両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎを囲みます。
①指先がつかない、②きっちり囲める、③すき間ができる、のうち②と③の場合は注意が必要です。
では、フレイルはどうしたら防げるのでしょう? 
「動かないことにより、体や頭のあらゆる働きが低下します。ですから、ちょっとした合間に片足立ちやスクワットなどの運動を行う、身近な人と交流するといったことを意識してください。また、三食しっかり食べる、口の中を清潔にする、口周りの筋肉を保つなども大切です」(秋下先生)。
「フレイル健診」は市町村が順次実施し、各々の健康状態を把握した上で助言。
必要であれば病院の受診を勧めることもあります。
フレイル健診ではこんなことを聞かれます
(一例)
質問:1日三食きちんと食べていますか
質問の意図:栄養不足になっていないか
質問:お茶や汁ものなどでむせることがありますか
質問の意図:嚥下機能の衰えがないかを確認
質問:6カ月間で2〜3㎏以上の体重減少がありましたか
質問の意図:筋肉量の減少や、サルコペニアの可能性を把握
質問:以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか
質問の意図:運動能力に衰えがないかの確認
質問:この1年間に転んだことがありますか
質問の意図:バランス能力についての把握
質問:今日が何月何日か分からないときがありますか
質問の意図:もの忘れ、認知機能の低下の把握
質問:週に1回以上は外出していますか
質問の意図:閉じこもりリスクがないか社会性についての評価
フレイルの進行を予防するには
●運動
動かない時間を減らして筋肉の維持を。ラジオ体操やスクワットも有効。
●栄養
三食欠かさず食べましょう。特にたんぱく質は欠かさないよう意識を。
●口の健康
毎食後と寝る前は歯磨きを。おしゃべりで口周りの筋肉を保つのも大切。
●社会性
日頃から家族や友人と交流を。電話を利用してのおしゃべりもいい。
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/坂木浩子

東京大学医学部附属病院 副院長
秋下雅弘(あきした・まさひろ)先生
東京大学医学部卒業。スタンフォード大学研究員、ハーバード大学研究員、杏林大学高齢医学助教授、東京大学准教授を経て現職。日本老年医学会理事長などを務める。