コロナ禍によって世界経済は大打撃を受け、各調査でも悲観的な見方が広がっています。

しかし、世界経済の減速傾向は、新型コロナウイルスによるパンデミック宣言の前から、すでに兆候が出ていたことを、太陽グラントソントンの調査結果が明らかにしています。

世界32か国の平均景況感は59%

各国の景況感を示す調査は各種ありますが、太陽グラントソントンがグラントソントン加盟主要32か国で年2回実施している、非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査(2019年10〜11月実施)は、世界同時調査の一環として行われる調査だけに、世界の景況感を示すバロメーターとして知られています。

2020年1月30日に公表された調査結果(2019年10〜11月実施)によると、世界32か国の平均景況感は59%と、数字上は前回調査(2019年5月〜6月実施)より2ポイント増加し、2年ぶりに回復の兆しを示しました。

しかし、国別に見ていくと、全32か国のうち半数を超える17か国の景況感が減少しているなど、世界経済の先行き不透明感による各国への影響が垣間見える結果となっています。

その要因は、米中貿易摩擦の長期化やイギリスのEU離脱などですが、2020年はそれにコロナ禍の影響が加わるわけですから、世界経済の先行き不透明感は、ますます深刻なものとなりそうです。

日本の景況感は2年連続で世界最下位

日本の景況感を見ていくと、前回調査に引き続き1ポイント低下して世界最下位です。主要国を見ていくと、11ポイント増と初めてアメリカを上回った中国、そしてアメリカも数字上では回復基調を示し、イギリスは1ポイント減とわずかながらマイナスに転じました。

今回の調査結果から、太陽グラントソントンは、「今年は中東の地政学リスク顕現化とともに始まったが、エネルギー需給構造の変化の下で中東の原油価格支配力は低下し、もはや世界的ショックを引き起こす要因とはなりそうにない」と分析している。

さらに、世界景気を左右するのは「米中対立の行方、とくに構造的な下方圧力の強まっている中国リスク」と指摘している。

米中対立は、コロナ禍でますます激化しているだけに、次回の調査結果を待つまでもなく、今後の景況感は、さらなる悲観的な数字が示されることになるかもしれません。

回復傾向の中南米と下落幅が大きいEU圏

良好な景況感を示したのはベトナム(5ポイント増)、インドネシア(2ポイント増)で、前回ポイントと比較し大きな回復を見せたのが、ギリシャ、アラブ 首長国連邦、アルゼンチン、ブラジル、メキシコで、中南米の増加が目立っています。

一方、前回結果で日本に次いでワースト2位となった韓国は、5ポイント減となり、今回もワースト2位に留まる結果となっています。

また、前回調査と比較して減少幅が大きかった国は、アイルランド、ドイツ、オランダ、ポーランドなどで、EU圏での二桁下落がとくに目立っています。EU圏以外では、フィリピンが17ポイント減と大幅な減少を記録しています。

日本企業の「今後一年間の自社の見通し」は?

さて、日本企業の「今後一年間の自社の見通し」について見ていくと、設備投資を除くすべての項目で減少が見られました。とくに、販売価格では11ポイント減の19%と、ほかの項目と比較しても大幅な減少が目立ち、次いで売上高が6ポイント減の36 %に落ち込んでいます。

日本の中堅企業経営者による自社の経営見通しは、自国の景況感と連動しているようですが、アメリカではほぼすべての項目で上昇傾向を示しています。しかも、設備投資や研究開発費の項目はでは、日本とは20ポイント以上の差が開いています。

まとめ

今にして思えば、昨年10月の消費増税は、最悪のタイミングで行われたようです。リーマンショック級の経済情勢となれば、増税の見送りも囁かれていましたが、コロナ禍によりそれをはるかに上回る、世界恐慌に匹敵するほどの経済情勢となっています。

しかも、政府が繰り出す支援策は、手続きの複雑さとスピードの遅さで、企業はまさに青息吐息の苦境に立たされています。生き残っていくために何をすべきか、経営陣はもとより、ビジネスパーソンひとり一人が、アフターコロナへ備えることが大切となりそうです。