話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、目黒川うなさんが「月刊コミックゼノン」(徳間書店)で連載中のマンガが原作の「織田シナモン信長」です。高橋英俊監督に、作品の魅力などを語ってもらいました。

 −−作品の概要と魅力は?

 本能寺の変で明智光秀に討たれた織田信長が、現代に犬として生まれ変わる。そして、同様に犬になった武田信玄、上杉謙信、伊達政宗、今川義元、黒田官兵衛、真田幸村ら戦国武将たちと、もう一度天下統一を目指して覇を競い合うのではなく、ご近所の道端や、行きつけのドッグランでまったり、ゆるーく世間話や昔話に花を咲かせる。外見は可愛い犬だけど中身はおっさんたちの姿を愛(め)でる作品です。あと一応当事者たち(?)なので、戦国時代のこぼれ話や意外な事実を知ることができます。麒麟(きりん)は来ませんが、リスは来ます。

 −−アニメにする時に心がけたことは?

 第一に、原作のテイストを壊さないことです。この作品はジャンルとしてはギャグものなのですが、ギャグだから面白ければ何をしてもいいわけでなく、ギャグの内容やギャグ表現の度合いによっては、原作から大きくかけ離れたものになる場合があるので、シナリオやコンテ上で描かれているギャグについてはかなり気をつけて選定しました。

 第二に、犬は犬として表現することです。これもギャグものでよくあることですが、動物を擬人化してしまうことは原則無しにしました。原作にもあるように、現世の姿のシナモンたちは犬として、前世の戦国武将たちは人間として、明確に分けることで、犬だけど中身はおっさん、しかも戦国武将というギャップが明確になって、そこに生まれるおかしみこそがこの作品の最大の魅力だと、原作を読んで思ったからです。

 (堀内犬友さん、櫻犬孝宏さんら)謎の大型新人声優の皆さんの起用に関しては……全てを明らかにするのは字数の関係で無理があるので決定的要因だけを言いますと、皆さん犬好きでらっしゃいます。犬好きであるが故の、この作品にかける熱意と愛情、更には優しさ、そしてほんのちょっとの遊び心です。

 犬が可愛らしく見えるのは、ひとえにキャラクターデザインの香川久さんのおかげかと思います。制作現場では別段、犬を可愛らしく描くようにとは言ってなく、犬らしく表現してほしいとお願いしています。自分は犬を飼ったことがないので、どこまで犬らしく表現できているか正直あまり自信がありません。実際に犬を飼っている人たちや犬好きの人たちから見たら足りないところや間違った表現をしているのかもしれません。それでもシナモンたちが可愛いと思ってもらえているなら、それはアニメとしてのキャラクターのデザインのおかげではないかと思います。もちろんそれは、原作者の目黒川うな先生のマンガの造形があってこそなのは言うまでもありません。

 −−作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 うれしかったことは、制作スタッフがこの作品を楽しんで見てくれていることです。全てのスタッフに聞いて回ったわけではないですが、何人かに聞いてみたところ、毎週楽しみにしている、家族で見ていると言ってもらえたのがうれしかったです。どんな職業でもその職業なりの苦労やつらさがあるように、アニメ業界にも制作上の苦労やつらさがいっぱいあります。あまりのつらさに、関わってる作品なのに仕事以外では見たくも聞きたくもないということもあったりします。そんな状況を経験してきている身としては、楽しんで見てくれている制作スタッフがいるということは、監督という作品の責任者としてはとてもうれしいですし、安堵(あんど)もします。もちろん自分自身も楽しんで見てます。制作現場が苦労する要因の最終的な責任は監督にありますので……。大変だったことは……いろいろありました。

 −−今後の見どころを教えてください。

 この記事が出るのは最終話直前なので……。シナモンと市子の出会いのお話があります。

 ー−ファンへ一言お願いします。

 「織田シナモン信長」をご覧になっていただきありがとうございます。初めてのテレビシリーズの監督でこの作品に出会えたのはとても幸運だったと思っています。長いようで短い、まさに夢のような一時でした。今回この作品は全12話で終了となりますが、皆さんにとってもこの「織田シナモン信長」という作品と共有した時間が、夢のような一時であったのであればうれしく思います。第2、3期……と続いていってほしいと思っています。
 織田シナモン信長 監督 高橋英俊 

※高橋英俊監督の「高」ははしごだか