人気アニメ「ガンダム」シリーズに登場するガンダムのプラモデル「ガンダリウム合金モデル 1/144 スケール RX-78-2 ガンダム」(バンダイスピリッツ)が、発売される。劇中でガンダムの装甲材などに使用されるガンダリウム合金をイメージした素材を使用。“素材の集大成”となるガンプラを目指した。価格は22万円と高額ながら、バンダイの公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」で7月21日にスタートした1次受注が終了するなど人気を集めており、現在は2次受注を受け付けている。“素材の集大成”となった「ガンダリウム合金モデル」の誕生の裏側に迫る。

 ◇月面上の条件に近い製法で製造 地球製ガンダリウム合金誕生

 「ガンダリウム合金モデル」はガンプラの40周年を記念したプロジェクト「LINK THE FUTURE」の一環として発売される。バンダイスピリッツは“素材の集大成”を目指すにあたり、ガンダリウム合金の定義を検証した。諸説はあるが、ガンダリウム合金は月で採掘された高純度のチタンを使ったチタン合金とされ、素材を低重力下である月面で還元精錬することで完成する。実際に月面で還元精錬するのは難しい。そこで、地球上での再現を目指した。素材を精製している高純度チタンとイットリウムは地球上でも入手可能だが、月面同様の低重力下での溶解、鋳造を地球上で再現するのは不可能だった。また、細かいディテールを作り込むのも困難だった。

 そこで、着目したのがMetal Injection Molding(MIM)法だった。MIM法とは、粉末材料を金型で成形した後、拡散焼結することで一体化させて部品を作り出す技術。1000℃超に加熱するものの、溶解まで至らないため、重力による比重分離が起こらないという。粉体を出発原料とするため、各種材料の複合設計が可能で、チタンの粉末にナノサイズのイットリウム酸化物粉末を均一分散させ、焼結することができれば、月面のような低重力下での溶解精錬と同じ効果を得ることができるかもしれない……と考えた。

 粒子径の異なる高純度チタン粉末と酸化イットリウム粉末を用意し、配合比を検討。均一分散のために、特殊な精密混合装置も使用し、加熱、冷件、気体条件などを変えて、試作を重ねた。結果、精度と造形のバランスを両立でき、月面上の条件に近い製法で地球製のガンダリウム合金が誕生したという。

 ◇ガンプラに落とし込む 富野由悠季総監督も太鼓判

 MIM法によって地球製のガンダリウム合金が誕生したが、金属をガンプラに落とし込む課題もあった。一般的なガンプラは、接着剤を使わないスナップフィット方式を採用している。「ガンダリウム合金モデル」も組み立てやすさ、格好よさの両立を目指した。しかし、プラモデルの金型とMIMの金型が大きく異なることから、ミクロン単位でのトライアンドエラーを重ね、金型の調整、修正を繰り返した。生産段階でも非常に難易度の高い作業になったといい、特に釜入れ(焼結)は、製品の収縮率にも個体差が生じるなど別の課題も生じた。釜入れが成功しても寸法確認のために全品組み立て検査を行うなど、手間と時間、労力を費やすことでクオリティーを保つことができた。

 開発を担当したバンダイスピリッツ・ホビー事業部の齊田直希さんは「通常のプラモデルとは性質が大きく異なる素材を扱うため、開発は未知の領域でした。アニメ設定に倣った合金自体の忠実な再現に加え、それをガンプラに落とし込む必要がありましたので、さらにハードルの高い商品開発となりました。商品に至る工程で何度も試行錯誤を繰り返した結果、満足いただける商品ができたと自負しております」と自信を見せる。

 「ガンダム」シリーズの生みの親として知られる富野由悠季総監督も「質感・ディテール・プロポーションは良いし、コレクタブルなミニチュア玩具として、見え様がきれいにまとまっている」「多くのファンに満足してもらえる商品」と太鼓判を押す。

 「化学」と「匠(たくみ)の技」が融合して「ガンダリウム合金モデル」は完成した。40周年記念プロジェクト「LINK THE FUTURE」は、ユニコーンガンダムがユニコーンモードからデストロイモードに自動変形する「AUTOTRANS MODELモデル RX-0 ユニコーンガンダム」、現段階での究極のガンプラを目指した「PERFECT GRADE UNLEASHED アンリーシュド 1/60 スケール RX-78-2 ガンダム」も発表されている。ガンプラの進化は止まらない。