App Annie(アップアニー)は、2019年のモバイル市場に関する包括的なレポート『モバイル市場年鑑 2020』を発表した。



●成熟市場でのダウンロード数は横ばい

 2019年の全世界アプリダウンロード数は、過去最高となる2,040億件に到達した。ダウンロード数増加を牽引する主力になったのは、インド、ブラジル、インドネシアを含む新興市場で、米国、日本、韓国のような成熟市場では、ほぼ横ばいだ。世界において、モバイル中心企業は非モバイル企業に比べ、上場における平均評価額が825%増加している。

 全世界のアプリストア消費支出は1,200億ドルに到達し、2016年の2.1倍に増加している。また1日のモバイル利用時間は、2018年から40分伸び、全世界平均で3時間40分にまで増加した。Z世代は、ランキング上位アプリにおけるユーザーあたりのセッション数が非若年層世代より60%多くなっている。



●日本でのダウンロード数1位は「PayPay」 支出が多いのはマンガ系

 日本の月間アクティブユーザー数、ダウンロード数、消費支出額の各ランキングは次の結果になった。

 アクティブユーザー数では、LINEが1位に。またYahoo!提供のアプリが複数ランクインした。ダウンロード数では、「PayPay」がLINEやSNS、動画プラットフォームを抑えて1位となった。消費支出額では、1位を「LINE Manga」が飾ったほか、マンガ系アプリが複数ランクインした。



●米国ではゲーム系を除く消費支出の多くがサブスクに

 米国では、非ゲーム系アプリにおける消費支出上位250のうち、支出額の96%がサブスクリプションによるものだった。非ゲーム系アプリとゲームを合計した消費支出総額でも、4分の1となる25%がサブスクリプションによる消費となった。

 また世界においても、サブスクリプションモデルが成功を収めており、マッチング系アプリの「Tinder」、動画ストリーミングアプリの「Netflix」、「Tencent Video」が2019年の非ゲーム系アプリの消費支出ランキングにおいて上位3位を占めている。



●IoTアプリのダウンロード数が1年間で急増

 米国では2019年の1年間だけで、IoTアプリの上位20位のダウンロード件数が1億6,000万件を超えた。

 コネクテッドデバイスは2025年までに252億台に達すると見込まれており、“コネクテッドTV”や“コネクテッドカー”など、モバイルは今後様々な状況においてユーザーが周囲の世界とやり取りする際の主要なインターフェースになることが予想される。



●フィンテックアプリが金融機関のアプリよりも速いペースでユーザー拡大

 ファイナンスアプリについて、全世界における上位10位のフィンテックアプリ(金融機関以外の企業が管理しているアプリ)とバンキングアプリ(民間の金融機関や金融サービス会社が管理しているアプリ)をそれぞれ比較すると、平均月間アクティブユーザー数において、フィンテックアプリがバンキングアプリを大きく上回った。

 日本は、フィンテックアプリのMAU成長率が世界で2番目に高く、2019年も引き続きトレンドとなった「◯◯Pay」の利用者増加にともなう成長であることがわかる。

<2019年にブレイクしたファイナンスアプリ>

 ファイナンスアプリは、2019年に最もブレイクしたカテゴリーとして、ダウンロード数の絶対数を前年から大きく伸ばした。ダウンロード数の前年比成長ランキングでは、前年からの高いレベルを維持したアプリもある一方、多くは前年⽐で⽬覚ましい成⻑率を記録している。

 またファイナンスアプリの特徴として、利用されているアプリが国によって異なる点が挙げられる。同じアジアや欧州でも上位アプリは異なり、各国が独自のファイナンスサービスを展開していることがわかる。日本でもPayPay、d払い、LINE Payなど、国内企業のアプリが台頭している。



●モバイルゲームのゲーム市場占有率が過去最高の60%に

 世界全体のゲームの消費支出において、モバイルゲームの支出額が、家庭用ゲーム機などすべてのゲーム形式を合計した額よりも35%高くなった。

 また、「Call of Duty: Mobile」や「マリオカート ツアー」など、家庭用ゲーム機のタイトルをモバイル向けにローンチし、より大きな市場での収益化を実現した事例もあった。

 モバイルゲームは、消費支出における世界的なリードを広げ、2020年にはゲームアプリがアプリストアで1,000億ドルを超えると予測される。

<2019年にブレイクしたゲーム:ダウンロード数、消費支出>

 ゲームカテゴリーの中でもモバイルゲームは消費支出において世界をリードするプラットフォームであり、この分野のビジネスチャンスは現在も増え続けている。既存のパブリッシャーや⼤⼿パブリッシャーに限らず、新規参入サービスにも成功のチャンスがある成長市場といえる。

 ゲームカテゴリーにおけるダウンロード数の前年比成長ランキングでは、任天堂「マリオカート ツアー」が、調査対象12ヵ国のうち、日本、米国を含む最多5つの国でトップ成長を記録した。また全体的には、8ヵ国でランキング入りしている「Color Bump 3D」など、シンプルでわかりやすい「ハイパーカジュアルゲーム」が前年に続き高い伸び率となっている。

 消費支出の前年比成長ランキングにおいては、実際の景色や地形などにコンピュータを使って情報を加える「AR(拡張現実)」技術を活用したゲームアプリ「Dragon Quest Walk」が国内トップ成長となった。



●動画ストリーミングアプリでは高い重複利用率により市場が拡大

 「Disney+」や「AppleTV+」の登場により、動画ストリーミング市場の競争が激化している。従来サービスである「Netflix」、「Amazon Prime Video」、「HBO NOW」に加え、2020年には「HBO Max」、NBCUniversalの「Peacock」がローンチ予定など、その競争はさらに勢いを増す見込みだ。

 また、動画ストリーミング市場においては、米国における「Netflix」ユーザーの「Disney+」利用率が25%となるなど、ユーザーの重複利用率が高いことも、市場拡大を牽引している要因のひとつであると考えられる。

<2019年にブレイクした動画ストリーミングアプリ>

 2017年から利用時間が50%増加したエンターテインメントアプリを牽引したのが、動画ストリーミングアプリの成長だ。映画やテレビ番組、ライブイベントをオンデマンドで視聴する方法として、モバイル端末での動画ストリーミングアプリ利用が増加している。

 高品質ストリーミング、ユーザー生成コンテンツの成長、そしてオフラインモードの標準化といった業界の進化により、重視されるポイントが画面サイズからモバイル視聴へとシフトした。2020年春から商用化が予定されている「5G」により、その移行はさらに促進されると考えられる。

 全体的には、米国の動画ストリーミング配信サービス「Netflix」が中国、ロシアを除く最多10ヵ国でランクインし、うち6ヵ国では1位を獲得するなど好調。一方で日本国内では、ECサービスの会費にサービス利用費が含まれている「Amazon Prime Video」や、民放の公式無料配信ポータル「TVer」などが「Netflix」を利用時間で上回る結果となった。

【調査概要】
調査主体:App Annie
利用データ:アプリ市場データプラットフォーム「App Annie Intelligence」のデータ

MarkeZine編集部[著]