【モデルプレス=2020/02/15】映画『影裏』(2月14日公開)に主演する俳優の綾野剛(38)が、モデルプレスのインタビューに応じた。インタビューでは、今作で本格初共演を果たした松田龍平とのエピソードをはじめ、“映画”“夢”についてその思いを語ってもらった。

◆綾野剛、映画『影裏』は「文学の映像化に成功した稀な作品」

今作は、2017年文學界新人賞を受賞、同年第157回芥川賞を受賞した沼田真氏の「影裏」(文藝春秋)を映画化。「るろうに剣心」シリーズ、NHK大河ドラマ「龍馬伝」といった代表作を持つ、大友啓史監督がメガホンを執る。

これまでに50本以上の映画に出演してきた綾野でさえ、「台本を読んで、自分が撮影していたはずなのに、次のシーンが全く想像できない。ずっと妙な緊張感があって、隙がない。こんな映画に出会ったのは初めてです」と語る今作。

物語の主人公は、転勤をきっかけに岩手の盛岡に移り住んだ今野(綾野)。突如失踪した同僚・日浅(松田)の足跡を辿るうち、日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう…というヒューマンミステリーが描かれる。

全編ロケで撮影された岩手の自然をバックに、決して多くはないセリフ量の中、物語は静かに進んでいく。「昨日誰と何を喋っていたかって、そんなに覚えていなかったりする。その感覚です。驚きの連続でしたし、よっぽど(今野を)ドキュメントとして生きていたんだなと」と役を“生きる”綾野らしい言葉で語る。

また、「文学の映像化に成功した稀な作品」とも評価し、「大友監督、(撮影の)芦澤(明子)さんをはじめ各部署がムードを作ってくれた。何もない場所では何も生まれないですから」と感謝。「今は色々なことを分かち合いやすい作品が多くなっていますが、観てくださった方々の感じたことだけでいいという潔ささえ感じます」と今作の魅力を伝えた。

◆松田龍平と本格初共演「いつか必ず共演すると思っていた」

意外とも言える、松田との本格初共演。もともと親交は深く、2005年公開の映画『NANA』で共演しているものの「ちゃんとお互いが認識し合っていて、高い位置で認め合えている中でお芝居するのは初めて」となる。

「思っていたより遥かに唯一無二。松田龍平にしかできないことを松田龍平がやり続けている。ほかには出会ったことがない」。

プライベートでは「チャーミング」な印象だというが「いざ現場で『よーいスタート』がかかると映画のムードになる」。「2人で何かを作ろうとした記憶はないけれど、勝手にそのムードができていた」と撮影を振り返った。

「手前味噌ですけど、日本でこれ以上のキャスティングはなかったと思います」と自信を覗かせた今回の共演。キャスティングを聞いた際に驚きはなかったようで、「いつか必ず共演すると思っていた。『共演したいね』という話もお互いしていましたし、2人にとって特別な作品で実現したいという思いもあった」といい、双方のファンにとっては待望の共演も綾野からすれば「自然とそうなった」という感想だ。

◆綾野剛「だから僕たちは…」“映画”への思い語る

映画で綾野と松田が演じる、今野と日浅は全くタイプの異なる2人。お互い自分にない部分に惹かれ合い、“親友”と呼べるほどに関係を築き、影響を受けていく。そんな2人の関係性にちなみ、綾野がこれまでの人生で影響を受けてきたものは?と質問すると、「映画ですね」と即答。

「王道のものも好き」「ラブコメも観る」…とジャンルは問わず、「好き嫌いではなく、ビビッときたもの」を観るそうで、「文学や作家性の強い『影裏』のような作品を観ることの方が少ないかもしれません。自分の感度だけではなく、他人の感度にも引っかかれる状態でいようと心掛けています」。

鑑賞のペースは「極端」。「観ようと思ったら1日3、4本観るし、観ないときは2、3ヶ月空くし、役者の中だと観ていない方かもしれない…まだ封を開けていないDVDやBlu-rayもたくさんあります」。ただ、「その9割は劇場で観るべきだったと心底思っています。映画館で観られるのは“今”しかない。映画館で映画を観る時間をちゃんと設けたい」と多忙ゆえの悩みも吐露した。

『影裏』に関しては「大友監督がものすごく音にこだわっている。氷の“カラン”という音から呼吸まで、映画館でないと絶対に伝わらないことを、映画館に来た人だけの付加価値を信念注いで作っている。だから僕たちは、『ぜひ映画館に来てください』と言い続けているんです」とその意義を訴え、「大豪邸を建てて、家にシアターを作っても、隣に他人がいないと意味がない。他人がいるからいいんです。その反応を含めて映画はエンタテインメントとして成り立っている。スポーツ観戦と同じで、“共有する”ということが本当の付加価値だと思います」と声を強めた。

◆綾野剛の“夢”とは――「今を懸命に生きれば必ず夢に辿り着く」

これまでモデルプレスでは、綾野に何度か“夢を叶える秘訣”を教えてもらったが、今回は自身の“夢”について聞いた。

少し考え、「ぜひ映像化したいと思っている作品があるので、まずはそれを叶えること」と最終目標への第一歩を語ったあとは、声にさらに熱がこもっていく。

「随分前に出会った作品ですけど、その世界を生きてみたいという思いが何年も消えないんです。もちろん、そのときのために今を生きているわけではないですけど、今を懸命に生きることで自分が叶えたいことがちゃんと近づいてくるんだという。やっぱり皆、未来を見過ぎているから。未来は今現在をどういう風に紡いでいくかによって決まるわけで、未来を決めて今をないがしろにしてはいけない。努力すれば報われるなんてことは絶対にないし、努力は平気で裏切る。努力は報われるためにあるものではなく、自分が成長するためのものでしかない。今やるべきことをしっかりやっていくことによって、映像化へ確実に一歩一歩近づいていっているという実感があるんです。僕は、今を懸命に生きれば必ず夢に辿り着くというモデルケースを作りたい」。

映像化が実現した際にはぜひまたインタビューを…とお願いすると、笑顔で「よろしくお願いします」と返してくれた。その“夢”に向かう途中、「今を懸命に生きた」証は、『影裏』にも刻まれているはずだ。(modelpress編集部)

■映画『影裏』概要

出演:綾野剛・筒井真理子・中村倫也・平埜生成/國村隼/永島暎子・安田顕・松田龍平
監督:大友啓史
脚本:澤井香織
音楽:大友良英
配給:ソニー・ミュージックエンタテインメント
配給協力:アニプレックス

<ストーリー>

今野は、転勤で移り住んだ岩手で日浅に出会う。慣れない地でただ一人心を許せる存在。

まるで遅れてやってきたような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。

しかしある日、日浅は突然姿を消してしまう。日浅を探し始めた今野は、日浅の父に捜索願を出すことを頼むが、何故か断られてしまう。

そして、見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔。陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”とは?

■綾野剛(あやの・ごう)プロフィール

生年月日:1982年1月26日
出身地:岐阜県
身長:180cm
血液型:A型

2003年に「仮面ライダー555」で俳優デビュー。2011年放送の「Mother」(日本テレビ系)で注目を集め、2012年NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」で認知度を上げた。

近年の出演作は、映画『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』(2017年)、映画『パンク侍、斬られて候』(2018年)、ドラマ「ハゲタカ」(2018年、テレビ朝日系)など。今後は、映画『影裏』のほか、4月スタートTBS金曜ドラマ「MIU404」(主演・伊吹藍役)、11月公開の主演映画『ドクター・デスの遺産−BLACK FILE−』が控える。

【Not Sponsored 記事】