特集上映「戦後日本ドキュメンタリー映画再考」が現在、国立映画アーカイブ(中央区京橋3)で開催されている。(銀座経済新聞)

 「御母衣ロックフィルダム第1部」

 1950年代から2000年前後までに製作されたドキュメンタリー映画66作品(42プログラム)の上映を通じて、「主題的に、あるいは手法的に」特色のあった映画作家たちの足跡を追う。上映作品の大半は現在、見ることが難しい作品で、完成当時から映画館での公開を前提としていないものも多い。

 国立映画アーカイブ主任研究員の岡田秀則さんは「ドキュメンタリー映画は『報道』とは異なり、私たちの生きている世界を媒介とした、作り手たちの表現。作家たちが社会をどのように切り取り、どんな文体や視線で対象に迫ったかを見る時、その多様性には驚くべきものがある」と話す。

 今回は1950年代からの高度経済成長期に企業や官公庁によって多く作られたPR映画を象徴する存在として、戦後の電力需要の急増などに対応するために全国で建設されたダムの建設記録映画に着目。「黒部川第4発電所建設記録 黒部峡谷 第2部 地底の凱歌」「御母衣(みぼろ)ロックフィルダム(第1部・第2部)」「豪雪に築く 奥只見ダム建設の記録」などの「ダム映画」を多く集める。

 また、1960〜70年代に高度成長の中で伝統的な習俗や文化が失われていくことに抗して北海道のアイヌ民族や沖縄の伝統儀礼などの撮影に取り組み、ドキュメンタリーの一つの潮流を形成した姫田忠義さん、北村皆雄さん、岡田一男さんらにもスポットを当て、「イヨマンテ 熊おくり」「海南小記序説 アカマタの歌 -西表島・古見-」「沖縄 久高島のイザイホー」などを上映する。

 ほかに暴走族の世界を捉えた「ゴッド・スピード・ユー BLACK EMPEROR」、東京・山谷を舞台とする「山谷(やま) やられたらやりかえせ」、落ち葉や枯木にいる粘菌のリズミカルな動きを捕捉した「真正粘菌の生活史 −進化の謎・変形体を探る−」なども上映する。

 「当時の劇映画ではまれだった女性監督たちの活躍も含め、キャメラを通したダイナミックな戦後史を発見していただければ」と岡田さん。

 料金は一般520円ほか。月曜休館。3月8日まで。