日本郵船、三菱地所、鹿島は、「(仮称)横浜市中区海岸通計画(A-1地区)」(横浜市中区海岸通3)の新築工事に着手した。延べ7万平方メートル規模の事務所、店舗など複合施設を建設する。3者は共同で設立した特定目的会社を通じて事業を推進する。(ヨコハマ経済新聞)

 万国橋が話から見た21階建てのビルと横浜郵船ビル

 横浜市中区海岸通り地区の旧横濱ビルの跡地に、横浜都心・臨海地域全体の都市再生を目指した新たな拠点が2027年1月に完成する予定。

 計画地は、関内地区とみなとみらい21地区の結節点で、横浜高速鉄道みなとみらい線の馬車道駅徒歩5分に位置し、計画地周辺には横浜第二合同庁舎、隣接する北仲通南地区に横浜市庁舎、新港地区にはよこはま新港合同庁舎が完成するなど、今後さらなる来街者の増加が期待されている地区。

 歴史的建造物「横浜郵船ビル」と調和した景観の形成や、横浜のウォーターフロント全体の都市再生に寄与するオフィスや商業施設の集約的整備、街の回遊性向上のために水際空間を含むプロムナードを整備することや、災害発生時に帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保などが特徴。

 デザインコンセプトは「海の風景と海岸通りの街並みをやわらかくつなぐグラデーション」とし、建物の低層部は、横浜郵船ビルの印象的な角面を継承するデザインとなる。隣接する横浜郵船ビルの最上階部のガラス壁面に3枚毎に割付されたデザインを踏襲してビルの外装縦フィンの位置を検討し、同ビルの建物の頂部等に来る水平に形作られた突起状のコーニスラインの形状を継承し調和する立面を形成する。

 外構は海岸通りから海側へ誘引するプロムナードを整備し、水際線プロムナードと併せて地区全体の回遊を促す計画。海を感じさせるゆらぎのデザインで、建築デザインと調和し、水際線を予感させるランドスケープをつくる。プロムナードの舗装材は明るい色調の舗装を基調とし、水際線に向かうにぎわいを創出し、植栽帯に付属させたベンチは、波を表現して、点在する滞留空間が水際線へ誘うよう計画している。

 海側の水際線プロムナードについては、店舗前のにぎわい・滞留空間が水際線プロムナード全体にしみ出すように舗装パターンでグラデーションをつけ、滞留空間と流動性の両立を図ることを計画。海を眺めながら佇める空間を温かみのある色合いの舗装材で演出する。

 防災機能は、横浜市防災計画に基づく防災都市づくりの推進を図り、地震や津波等に対する更なる防災対応力の向上に取り組み、帰宅困難者の受入場所の確保や、水・食料・帰宅支援マップ等を備蓄する防災備蓄倉庫の整備、浸水が想定される部分には建物設備の設置を計画せず、災害時も継続して建物を稼働させることができる計画となっている。

 敷地面積は約4,950平方メートル、延床面積は約70,000平方メートル。高さ約100m、地上21階、地下1階、塔屋1階。着工は5月1日。設計・監理は三菱地所設計、施工は、鹿島建設。