弘前の土手町通りにある「喫茶チェンバロ」(弘前市土手町)が3月20日、開店40周年を迎えた。(弘前経済新聞)

 【写真】1980年開業と書かれた入り口看板

 石井貢さんと弘子さんの夫婦2人で切り盛りする同店。百貨店「かくは宮川」の跡地にできたファッションビル「ハイ・ローザ」がオープンした1980(昭和55)年3月20日に出店。正面入り口2階にあり、下土手町スクランブル交差点に面したガラス張りのテナントだった。石井さんは「長靴のお客さまが入店しにくくなるような重厚な店がコンセプトだった」と振り返る。

 開店当時のコーヒーは1杯300円。「1000軒はあったともいわれる喫茶店がひしめき合う弘前で一番高いコーヒーだった」と石井さん。店内天井にはシャンデリアをつり、2層構造のじゅうたん、テーブルごとに連絡用電話を備えて電話代は会計時に支払う仕組みだったという。

 石井さんは高校卒業後、東京で会社員として働くが、3年で弘前に戻ってきた。親戚がやっていた喫茶店で働き始めたことがきっかけで、25歳の時に「ハイ・ローザ」への出店に至ったという。「喫茶店は『サ店』と呼ばれた時代。学生たちは議論を交わすために使ったり、おしゃれをして集まったり、待ち合わせの場所に使われたりとさまざまな利用客がいた」と話す。

 ハイ・ローザは1998(平成10)年に閉館。「最後まであった40数店のテナントは市内に移転したが、現在でも続いているのは『IVY』(弘前市駅前町)だけなのでは」と石井さん。「チェンバロ」はルネスアベニュー(現在のルネスアリー)に移転。2005(平成17)年まで営業後、現在の場所に移転した。

 移転に当たっては、女性でも入りやすい雰囲気づくりに務め、コーヒー(500円)以外のメニューも増やしたという。スイーツメニュー(400円〜)やワンプレートランチ(700円)も取り入れた。「コーヒーだけでは若い世代には受け入れられにくくなり、メニューを極端に増やしたこともあったが、今はだいぶ減らした」と石井さん。「5年くらい前から自家焙煎を始めた。開店当初はサイホンで入れ、ペーパードリップを始めて今はネルドリップ」とも。

 40年続けられた秘けつについて、石井さんは「真面目にやっていただけ」と話す。「集団生活ができない性分で、みんなと同じことをしたくないと思っている。人にできることは自分にもできるという信条で、失敗を恐れず何事も自分でやってみた。失敗もあったが得ることも多い。そもそも失敗を失敗と思ってはいない」と笑顔を見せる。

 「若い世代に受け入れられなくなったらいつでも辞める」と石井さん。「自分の入れたコーヒーを目的に来るお客さまや帰省のタイミングで立ち寄ってくれるお客さまがいる限りは続けたい」と話す。

 営業時間は10時30分〜17時。水曜定休。