城東区放出(はなてん)の串カツ店「新世改94(くし)ダイニング誠(まこと)」(大阪市城東区永田2、TEL 06-6968-9455)では、新型コロナウイルスの影響で一時売り上げが半減したが、緊急事態宣言の解除に伴い徐々に客足を取り戻している。(京橋経済新聞)

 【写真】「新世改94ダイニング誠」外観

 店主の吉野誠さん(40)は「コロナの影響でイートインの売り上げはほぼゼロだった。すぐにウーバーイーツを導入しデリバリーで売り上げ確保に乗り出したが、ウーバーイーツの手数料を計算していなかったので思ったより売り上げは伸びなかった。とにかく無我夢中だった」と振り返る。

 弁当販売も考えたが「当店は串カツ屋。できるのは串カツを作ることだけ」との思いで串カツのみのテークアウトやデリバリーに力を注いだという。「そのかいあってか、冷めてもおいしい、今度はお店でできたてを食べたい」との声があり、新規顧客の開拓につながっているという。

 「大阪名物」とうたわれる新世界の串カツ店「だるま」で7年間修業した吉野さんが、2009(平成21)年12月に出店した同店。「串カツ」といえば新世界やミナミに多くの専門店が軒を連ねるが、誠さんが選んだ場所は繁華街とは無縁の住宅街だった。「オープン当初は『半年でつぶれる』と冷やかされたりもした。でも自分にとっては周りの目を気にせずやりたいことに集中できる環境だった」と話す。

 「オープンから10年、一貫してこだわっているのはヘルシーな串カツ。家族連れや女性、妊婦の方にも気軽に串カツを楽しんでほしい」とも。無臭で低カロリーという国内産米油を使う。串カツを揚げる際に衣が油を吸収し過ぎないよう、フライヤーの性能アップにまで気を配るなど改良を重ねたという。

 誠さんが作る串カツと客との「橋渡し役」を担うのが、開業当初に結婚した妻の敏子さん。明るい性格で客とのトークを盛り上げるだけでなく、店内のデザインやメニュー札なども自作。敏子さんは「たくさんの方に来店してもらいたいとの思いから2年間手話の勉強もした。この10年、大変なこともあったが楽しかった。お客さん同士仲良くなることも多く、2組のカップルが結婚した。その後も夫婦で来店してくれるのもうれしい」と話す。近所に住む常連客は「串カツもおいしいし、ご夫婦の人柄がお客さんを引き付ける」と話す。

 同店の名物「激辛チョリソー50倍」(300円)は、辛い物好きの常連客からの提案で生まれた。同商品を食べるためにユーチューバーが来店したこともある。「のびーるチーズ」(210円)は「チーズドックみたいな串カツが食べたい」という小学生の女の子の一言がきっかけ。今では伸びたチーズの長さを競う「のびーるチーズ選手権」という独自の企画に発展。最高記録は近所に住む小学5年生の森岡萌衣さんがたたき出した4メートル50センチ。その記録を破ろうとテレビ番組で芸人がチャレンジするなど話題となっている。

 誠さんは「これからもヘルシーで食べやすい串カツを追求し続け、たくさんの方に楽しんでもらえる店にしていきたい」と意気込む。

 新型コロナ対策のため現在は客席を間引いて営業。営業時間は17時〜23時。毎月1日定休。