さまざまな精神障害に? 「完璧主義」が陥りやすいコト

さまざまな精神障害に? 「完璧主義」が陥りやすいコト

 
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
完璧主義は「完全癖」とも言われ、完璧さを追求して妥協しない性格傾向を指します。
 
完璧を目指すこと自体は立派なことですが、「完璧でなければ意味がない」と本末転倒すると、不適応な状態に陥ってしまったり、精神障害に陥ったりする場合もあります。
 
今回はこの「完璧主義」がココロやカラダに与える影響について見ていきたいと思います。

 
◆完璧主義の病理性:完全さへの強迫性

学業、職業、家事・子育てなどで素晴らしい成果を収めるには、優れた向上心や高いパフォーマンスが必要とされます。
 
そのために努力をおしまず、高いモティベーションを保って、ことに臨んでいくように求められます。
 
こうした、完璧さをめざす営みは、幾多の成功体験を経て自分のスタイルとして、その人の性格を形成していきます。ですから、完璧主義は優等生に多いといわれます。
 
しかし、達成が困難な状況に置かれると完璧主義は強い病理性を発現することがあります。
 
いわゆる「潔癖症」として、完全性や秩序に対する強迫的なこだわりに変貌してしまうのです。
 
つまり、完璧の達成が難しい状況でも、完璧でありたいという思いが捨てられず、不完全であることに必要以上の強いストレスを感じ、どうにもならないのに、どうにかしたいと空回りをしてしまいます。
 
とくに仕事や対人関係、恋愛や子育てなど、本人の努力だけではどうにもならない状況で、壁にぶつかりやすいとも指摘されています。
 
 
◆完璧主義と精神障害や問題行動

完璧主義は、さまざまな精神障害の病前性格となることが、専門医によって指摘されています。うつ病、摂食障害、不安障害、境界性パーソナリティ障害、アルコール依存症、心身症などです。
 
また、虐待や仕事中毒、夫婦関係や人間関係の破綻、嗜癖行為、自殺といったさまざまな問題行動の背景にも、完璧主義が見出されることが多いとのこと。
 
いわば、完璧主義であろうとするストレスと、それを満たせないことからくるストレスとの両方が相まって、症状や問題行動に絡まってくるということだそうです。
 
また強迫性障害(OCD)は、自分でコントロールできない不快な考えとしての「強迫観念」と、それをふり払おうと、さまざまな行為である「強迫行動や儀式」をくり返す不安障害の一つですが、専門医はその正体を「自分のこだわることに対する徹底した取り組みや、細胞の奥の奥まで純粋で、こころの底まで潔癖であり続けようとする完璧主義」(原井宏明)と指摘しています。
 
 
◆完璧主義の治療:認知行動療法
 
認知行動療法は、ものごとの受け止め方(認知)や行動を適応的に変えることで、つらい感情を軽減する心理療法とされています。
 
医療では信頼性の高い心理療法と位置づけられ、うつ病、双極性障害、パニック障害、社交不安障害、恐怖症、強迫性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、慢性ストレスなどの治療に適用されています。
 
とくに、比較的表層の「自動思考」や、より深層にある「スキーマ」と呼ばれる、ふだんは無意識な考え方のクセともなっているものを明らかにして、可能ならばこれらを変えていくことがめざされます。
 
そして、こうした考え方の無意識なクセの代表格として、完璧主義が挙げられています。
 

・自動思考の歪みとしての完璧主義(認知行動療法より)
「全か無か思考」:ものごとを白か黒かで、かんがえるような二者択一的な思考。
 
「100%うまくやらなければ失敗だ」と考えるため、たまにうまくいかなかっただけでも、自分を責めて、つらい気分になってしまう。
 
 
・スキーマの核となる価値基準としての完璧主義(認知行動療法より)
うまくできないなら、はじめからやる意味はない、といった思考にとらわれている
 
 
◆完璧主義の本質:反復強迫
 
精神科医の岡田尊司医師は、完璧主義の本質について「創造的なものではなく、その本質は、同一を求める反復強迫」だと指摘しています。
 
つまり、自分が予定や期待しているものと寸分ちがわないもの、あるいは過去に成し遂げたことと同じことをもう一度実現することにハマっているのが完璧主義だというのです。
 
いいかえると、ただ繰り返すためにくり返すという反復への強迫性が、完璧主義の病理性だといえるでしょう。
 
<参考>
原井宏明・岡嶋美代『やさしくわかる強迫性障害』ナツメ社、2015.
岡田尊司『あなたの中の異常心理』幻冬舎新書、2013.
福井至・貝谷久宜監修『やさしくわかる認知行動療法』ナツメ社、2016.
 
 
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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