フリーランスで稼げる人は「サラリーマン文脈」を知っている

フリーランスで稼げる人は「サラリーマン文脈」を知っている

 フリーランスの仕事といえば、「己の能力を正当に評価してもらいつつ、自由に、どこででも働ける仕事スタイル」といったイメージが昨今存在する。こうした働き方の満足度は高いとの調査結果も出ているが、そのスタイルで働く前段階としてサラリーマンを経験したほうがうまくいくと述べるのはフリーのネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏がフリーランスとして働くうえでの「サラリーマン経験の良さ」について考察する。

 * * *
 私は新卒で広告代理店に入って結局4年で辞めてしまいましたが、今の自分のフリーランス生活でこの4年がいかに貴重だったかをつくづく実感しています。その理由の根幹は「サラリーマン文脈が分かる」ということにあります。サラリーマン文脈とは何かといえば、以下のようなものがあるでしょう。

・予算は決まっていて、それを増やすのは難しい
・会社でよりエライ人が下っ端が作ったものを覆したらそれは尊重すべきである。抗って元に戻ることはあまりない
・世間一般の規範や常識はさておき、社内限定のローカルルールや慣習や前例主義は強固で変えることには困難を伴う
・上司の方針とさらにその上の「部」「局」などの部署の方針、さらには役員、社長の方針こそ重要。これに抗ってもあまり意味はない
・自社よりも客の要求に従うことが重要で、よっぽどの卓越した技術力や能力がない限り、客には滅私奉公することによって仕事を継続させられる

 フリーランスとしての仕事の進め方、お金の稼ぎ方は、上記のサラリーマン文脈に従って進めればうまくいきます。バカバカしいことや、硬直的な考えがあるのは分かります。でも、そこに従うことでカネをもらうことが可能になるのです。「組織のルール」を変えることは実に困難で、そんなものを変えるよりも、とりあえずはギャラを貰うことをフリーランスは優先すべきです。こうした基本的な「文脈」があったうえで、さらには以下の厳然たる事実も存在します。

・組織は個人よりも大きな金額を握っているもの

 これがフリーランスにとってはかなり重要です。というのも、結局、仕事をくれるのは仲間のフリーランスの人々ではなく、企業なんですよね。フリーランスの仲間から仕事を与えられる時は、その人が忙しすぎて手に負えない時にまわってくるようなもので、結局その人は2割ぐらいピンハネしているケースもあるわけです。必然的にギャラは安くなるので、その人からの仕事を受けてもたいしておいしい思いはできない。

 だったらさらに「上流」である企業から仕事をもらった方がいいわけです。若いフリーランスの中には、こうしたピンハネ後にもらえた仕事を「うわーっ、ヤマダさん(仮名)、本当にいい人! 若い私に仕事を回してくれて成長の機会をくれて嬉しい!」なんて思うかもしれませんが、結局ヤマダさんは、その若者の時間と能力を搾取しているだけなのです。

 ですから、若いフリーランスは、年上のフリーランスから与えられた仕事ばかりやるべきではないし、直接企業と取引をすべきです。

 当然私も会社員時代はフリーランスとも仕事をしてきたため、こうした事情を4年の間に多数経験しました。だからこそ、フリーになった18年前、27歳の時も騙されることなく「一見おいしそうな話」にひっかかることはなかったと思います。

 いずれは独立するにしても、一旦サラリーマンになり、その文脈を理解することで、仕事をくれるサラリーマンとの共感性を高めることができます。先日、某社で仕事をしていたところ、会社の電話を使わせてもらうことになりました。

「スイマセン、この電話って『ゼロ発信』ですか?」と社員に聞いたところ、「いやぁ、やっぱサラリーマン経験あると『ゼロ発信』という言葉が分かるんですね!」と妙に感心されました。

 大きな会社の場合、社内の「内線」の場合は4ケタの番号を入力するだけで大丈夫ですが、外に対して電話をする場合はまずは「0」を押してから相手先の電話番号を押します。これを「ゼロ発信」と言うのですが、「サラリーマンあるある」的に少しこの件で盛り上がりました。

 フリーでうまくやっていくにしても、結局は雇い主たるサラリーマンの気持ちがわかっていた方が案外うまくやっていけるのでは? ということを日々大企業の皆様からお金をもらっている私は感じ続けております。


関連記事

おすすめ情報

マネーポストWEBの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

生活術 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

生活術 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索