相次ぐ災害で表面化したキャッシュレス社会の大きすぎるリスク

相次ぐ災害で表面化したキャッシュレス社会の大きすぎるリスク

 急速に普及するキャッシュレス決済だが、現金と違ってついつい使い過ぎてしまうリスクや、せっかく得たポイントが失効してしまうなど、欠点もある。

 それに加え、さらに大きなリスクも潜んでいる。それが表面化したのが、昨年9月の北海道胆振東部地震に伴う大停電だ。山本国際コンサルタンツ代表の山本正行さんが語る。

「道内全域で停電が続き、キャッシュレス決済はおろか、ATMも停止しました。札幌ではカード払いするつもりの出張者が現金を持っていないことを理由にホテルへの宿泊を断られるなど問題が噴出した。『現金を持っていないことはリスクだ』ということを教訓として教えてくれました」

 たとえ非常用電源でレジが使えたとしても、QRコード決済はスマホのバッテリーを食ってしまう。充電ができない状況下においては、ためらってしまうはずだ。いわずもがなだが、バッテリーが切れたら、キャッシュレス支払いどころの騒ぎではない。ファイナンシャルプランナーで防災アドバイザーの岡部梨恵子さんも指摘する。

「今年9月の台風15号によって千葉県などで大きな停電がありましたが、そういった事態になればキャッシュレス決済はもちろんできない。お店は電卓で計算し、現金で支払うほかない。私は家に10万〜20万円分の千円札の常備を、そして常に千円札で2万円分持ち歩くことをお勧めしています。1万円札では『お釣りがない』という理由で買い物を断られた実例が多数あるからです」

 台風15号による停電は2週間程度で解消されたが、今後予想されている首都直下型地震は、それでは済まない。

「非常時にいちばん大事なのは、現金です。政府の中央審議会は予想停電期間を1週間としていますが、私はそれほどの短期では到底復旧しないとみています。1か月ほどの停電に耐えられるよう、備えておくべきです」(岡部さん)

 ますます現金のありがたみが増すが、なぜ今、キャッシュレス決済がここまで増えているのだろう。

「日本のキャッシュレス化は、増加する外国人観光客の需要を取りこぼさないために国が推進しているものです。しかし日本人の現金を好む文化は根強く、思うようには進んでいない。PayPayなどの決済業者も赤字ですし、加盟店は3%以上の決済手数料が重荷になっている。また、一括払いが主流なためカード会社もそれほど大儲けはしていないと思います」(山本さん)

 ではなぜ赤字でもサービスを続けるのか。思い浮かぶのは、個人の消費行動が一部のIT企業に収集され、ビッグデータとして利用されるということだ。

「メリットとデメリットは表裏一体。個人情報を差し出して便利なサービスを使わせてもらっている側面があります。気になるようであれば、使わない方がいい」(山本さん)

 個人情報を考えた時、ポイントカードが危ないと言うのは、ポイントプログラムに詳しい「ポイ探」代表の菊地崇仁さんだ。

「キャッシュレス決済で特定できるのは購入店と金額のみですが、Tカードやポンタカードなどのポイントカードは、購入した品目まですべて記録される。今年、裁判所の捜査令状なしにTカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが会員情報を捜査当局へ提供したことも明らかになっています」

 お金の使いすぎを招くうえ、個人情報も立派な財産であることを考えると、キャッシュレス化に二の足を踏む人が多いのもうなずける。

※女性セブン2019年11月28日号


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