2019年は、株価も、金などの商品価格も、不動産価格も上昇し、世界的な資産バブルが顕著になった年だった。しかし、経済アナリストの森永卓郎氏は「今の世界的なバブルは2020年中に崩壊する」と分析している。その背景には、日本経済、世界経済の低迷が挙げられる。以下、森永氏が解説する。

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 実は、すでに世界経済は、リーマン・ショック並みの危機に陥っている。2008年に起こったリーマン・ショックの後、2009年から5年間にわたり世界経済は景気低迷を強いられた。その時の5年間の平均成長率は3.3%だった。だが、2019年の世界経済成長率は、世界銀行の予測で2.6%、OECD(経済協力開発機構)の予測で2.9%、IMF(国際通貨基金)の予測で3.0%と、成長率はその時より悪化しているのである。

 それにもかかわらず、2019年12月には米国株価が史上最高値を更新し、日経平均株価も年初来高値を更新した。これは明らかにおかしい現象だ。教科書的には、「株価は半年先の景気を織り込む」とされる。景気が悪くなってくると、それに先駆けて株価が下落するというのが、通常のパターンだ。ところが、それとは全く違うことが起こっているのだ。

 日本の景気はすでに完全な後退期に入っている。たとえば、政府の景気判断の元となる景気動向指数の基調判断は2019年8月、9月と2か月連続で「悪化」となった。これは景気後退の可能性が極めて高い時の評価だ。製造業の生産を見ても、鉱工業生産指数は2019年の第1四半期から第3四半期まで、すべて前年割れ。貿易統計の輸出額も1月から9月まで、すべて前年割れだった。

 そうした状況の中で、2019年10月1日から消費税率が引き上げられた。まさに最悪のタイミングでの消費増税だったことを証明するように、10月の日本の景気指標は悲惨な数字のオンパレードとなった。私が一番驚愕したのは、生鮮食料品を除いて、前年比で+0.4%となった消費者物価指数だ。一見、物価が上がったように見えるが、実はそうではない。10月から消費税が2%上がったうえで、この数字である。

 消費者物価は消費税込みで測っているので、その分上がらなければならないが、もちろんこれはストレートには上がるわけではない。軽減税率の適用で0.4%、幼稚園や保育園の無償化で0.5%、家賃や医療費など非課税品目の存在などによって0.6%、それぞれ上昇率が抑制される。それでも、消費増税の影響だけで2%増税した分、物価は0.5%上昇するはずだ。

 ところが、トータルの物価上昇率は0.4%だった。だから本当の物価上昇率は、消費税の影響を外して考えると、−0.1%ということになるのだ。2019年11月の生鮮食料品を除いた消費者物価も前年比+0.5%と、消費税の影響を除くと、物価上昇率はゼロになっている。

 前回2014年の消費増税は、あらゆる景気指標が改善していた中で実施されたが、それでも増税をきっかけに日本はマイナス成長に陥った。今回は、景気後退局面で同じことをやったのだから、日本経済が失速するのは明らかだ。これから、日本経済がデフレの悪夢に戻ってしまうことは間違いないだろう。

 そうした見地から私は、今の資産バブルは2020年中に、早ければ東京オリンピック開催前、遅くとも年末までには弾けると考えている。2020年の年頭に、いきなり世界に衝撃を与えた米国とイランの戦争危機は、トランプ米大統領が軍事オプションを控えると表明したことで最悪の事態は回避したかに見える。だが、何をするかわからないトランプ氏のことだから、いつ抑えがきかなくなるかわからない。トランプ氏の思惑次第で、バブル崩壊が早まる可能性も十分に考えられる。