年金を正しくもらうには、様々な手続きが必要になる。公的年金の受給者が亡くなると、死亡届の提出によって年金支給が止まる。だが、年金は“後払い制”なので、亡くなる直前の1〜2か月分は「未支給年金」となる。「年金博士」として知られるブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾さんが言う。

「年金は月単位で支給されるので、1日でも月をまたげば、その月の分が発生する。たとえば、3月1日に亡くなると、3月分は遺族が丸ごと受け取れます。通知などは一切ないため、遺された配偶者や子供などが請求しないと永久に受け取れません。時効は5年。死亡届の提出と同時に忘れずに請求を」

 ちなみに、死亡届を出さずに不正受給した場合、一括で国に返納しなければならないので要注意だ。

 また、「遺族年金」の申請も忘れずに行いたい。故人が自営業などの場合に受け取れる「遺族基礎年金」と、会社員だった場合に遺族基礎年金と合わせて受け取れる「遺族厚生年金」がある。遺族基礎年金は18才未満(年度末まで)の子供とその親に当たる配偶者のみが対象だが、遺族厚生年金は子供の有無にかかわらず、父母や孫、内縁の妻でも受け取れる。

「遺族年金を受給できるようになっても、通知はありません。5年以内に年金事務所に行って請求書に記入して、戸籍謄本や住民票、死亡診断書などの必要書類を揃えて提出する必要があります」

「うちには18才未満の子供はいないから、遺族厚生年金しかもらえないのね」と思う人は多いだろう。しかし、こんな例外がある。夫が亡くなったときに妻が40才以上65才未満なら、年額約60万円(月々約5万円)が受け取れる「中高齢寡婦加算」があり、これも当然、申請しないと“消滅”する。妻が65才になって自分の年金を受け取れるようになると、この加算はなくなるが、代わりに「経過的寡婦加算」が上乗せされる。

 亡くなった夫が厚生年金に加入しておらず、18才未満(年度末まで)の子供がいない場合は、妻が60才から65才までの間に受け取れる「寡婦年金」と、保険料の納付月数に応じて受け取れる「死亡一時金」もある。寡婦年金は5年、死亡一時金は2年で権利が失効する。公的年金加入中に障害を負った場合は、その原因となったけがや病気の初診日から1年6か月目に「障害年金」の請求権が発生する。

「戸籍謄本や年金手帳、通帳、印鑑のほか、診断書や病歴・就労状況等申立書などが必要です。申立書は発病時の状況や日常生活の支障など確認すべきことが多く、その内容で受給額が左右される。決定額に不服があれば、3か月以内に再審査を請求しましょう」

 手続きがわからないから、面倒だからと後回しにすると、権利を失ったり、受給額が減らされたりする。年金は、しっかり知識を持たないと受け取れないと心得たい。

※女性セブン2020年3月26日・4月2日号