日本の社会保障制度の多くは、「会社員+専業主婦(+独立前の子供)」をモデル世帯に設定してきたために、「単身世帯」は給付等が薄くなりがちだ。夫が厚生年金に加入すれば、妻は第3号被保険者となり基礎年金が受給できる一方、単身者は同じ保険料で自分の年金だけなのが典型例である。

 だからこそ、単身者は自ら使える制度を探す努力がより重要になる。高額療養費制度や医療費控除などは、世帯人数が少ないと相対的にメリットが小さいが、単身者も利用可能なので、最大限活用したい。

 加えて、単身者が歳を重ねるごとに注意したいのが「住まいの確保」だ。65歳以上の単身世帯は賃貸住宅で暮らす割合が高く、約638万世帯のうち約213万世帯が借家住まい(平成30年住宅・土地統計調査)だが、住まい探しは簡単ではない。住宅コンサルタントの寺岡孝氏(アネシスプランニング代表)の解説。

「大家が孤独死や家賃滞納を不安に思って入居を拒むケースが少なくない。保証人なしだと、それもまたネックになる。そうした背景を受け、整備が進められているのが『住宅セーフティネット制度』です」

 2017年に改正された住宅セーフティネット法に基づき、国や自治体が民間事業者に協力を要請。それに応じて入居を拒まないとした賃貸住宅は、改修費などが補助される。入居者にも金銭補助などがあり、単身高齢者等の住宅確保用配慮者への支援を行なう。対象の住宅は、セーフティネット住宅情報提供システムから検索が可能。別掲表の通り、家賃債務保証制度が利用可能なケースもある。

「ただ、助成や保証が不十分で貸し主の事業者の協力が足りず、制度の改善が期待される」(同前)という現実もある。

 そのため、自治体独自の助成にも注目したい。たとえば東京・文京区では、高齢者を拒まない住宅として登録された物件に入居があった場合、事業者に月額1万円(年間12万円)の謝礼を支払い、孤独死の「原状回復費用」などの補助などを行なう。単身の高齢者が入りやすい物件を用意した上で、入居者にも安否確認サービスの提供や引っ越し費用などの助成制度を設ける。また、東京都では、単身高齢者の見守りなどを請け負う「あんしん居住制度」もある。

 こうした制度をフル活用することが、“おひとりさまの暮らし”の安心の基盤となる。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号