世界に誇る日本の公的医療制度が、窮地に立たされている。団塊世代が75歳以上になる2022年以降、今まで以上に医療費が財政を圧迫し、それは国民一人ひとりの負担増として、家計にのしかかる。

「無駄な医療にできるだけお金を払わないことが大切です」

 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は、そう提言する。

 2012年にアメリカで始まった「チュージング・ワイズリー(“賢く選ぼう”の意。以下CW)」と呼ばれる運動では、各専門医学会が検証の上、無駄な医療を公開してきた。日本でも、同種の取り組みが始まっている。

「先進国はリソースが豊かな分だけ医療の無駄が多いのです。医療現場に悪意はなくても、様々な要素が絡み合って過剰な医療に傾く現実がある。

 それは本当に患者の健康や病気の治療に役に立つのか? この薬や検査は必要なのか? そうした問題提起を通じて、市民と医療現場のコミュニケーションのあり方を考え直そうというキャンペーンです」(チュージング・ワイズリー・ジャパン代表の小泉俊三氏)

 別掲の表は、日本でいち早くCWの普及に取り組んできた前出・室井氏の協力のもと、無駄と指摘されている検査や投薬、外科的治療を56項目をリストにし、それにかかる費用を付記したものである。

 今回まとめたリストには、定期検診に含まれるような身近な検査や、生活習慣病の治療や薬も多く含まれている。知らずに無駄な医療費を払っている可能性は誰にもある。自らの健康を維持しながら今後の医療費負担増に備えるうえで、今こそ見直しを考えるときだろう。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号