世界に誇る日本の公的医療制度が、窮地に立たされている。

「日本の高齢化はどんどん進み、2025年には75歳以上が全人口の18%、約2割を占めるようになります。それはすなわち、国民一人ひとりの医療費負担が急激に増えることにつながります」

 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は、そう警鐘を鳴らす。

 1人あたりの年間医療費はこの20年で1.5倍に増えた。国民所得に占める医療費はこの10年、約10%で高止まりしている。

 しかも、厚生労働省の「生涯医療費」推計によると、人生の医療費のおよそ半分が、70歳以上に費やされている。つまり、高齢化が進めば、加速度的に医療費はふくれあがり、私たちが加入する健康保険も窮地に陥る。

 すでに75歳以上の窓口負担が現行の1割から2割へと倍増が検討されるなど、個人負担増は避けられない。患者の負担増は着々と進んでいるのだ。2020年の診療報酬改定による負担増を室井氏が解説する。

「この4月から大病院は紹介状がないと特定療養費として初診で5000円以上、再診でも支払いが増えます。その対象となる『大病院』の定義は従来の病床数400から同200に広げられました」

 他にも、年間2000件以上を受け入れる救急病棟への緊急入院時に5200円の加算などが始まった。国民一人ひとりの医療費負担は、その肩にますます重くのしかかってくるだろう。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号