新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの都道府県において休業要請が出されているパチンコ店。一部の自治体では要請に応じない店舗の名前を公表するという動きもあり、営業を続ける店舗への批判も高まった。

 そうしたなか、小池百合子都知事は4月30日、都内の全てのパチンコ店が休業したことを明らかにしている。パチンコ業界に詳しいフリーライターの藤井夏樹氏が経緯を説明する。

「4月6日に出された緊急事態宣言を受けて、大手チェーンはすぐさま都内の店舗休業を決断しましたが、中小規模の店舗については対応もまちまちでした。その後、度重なる要請を受け、休業する店舗は徐々に増えていきましたが、応じない店舗もそれなりにありました」(以下同)

 大きな動きがあったのは、4月24日のこと。都内のパチンコ店が加入する東京都遊技業協同組合(都遊協)が営業を続ける店舗に対し、休業しない場合は組合から除名するとの“最後通告”を出したのだ。

「都遊協からの通告を受け、多くの店舗が要請に応じ、30日までに都内の全店舗が休業することとなりました。通告の翌日から休業する店舗が多かったようです」

1台空けて稼働、無料で手袋配布

 緊急事態宣言発令から4月末までの間、都内で営業を続けていたパチンコ店は、どんな様子だったのだろうか。前出・藤井氏は、発令後に営業を継続していたホールの状況に注目していたという。

「全国規模のチェーン店はすぐに休業していたんですが、都内に数店舗を構えるローカル店や非チェーン店などは、感染防止策を強化しつつ、営業を続けるケースも珍しくなかったと思います。

 たとえば、世田谷区内のA店は、パチンコ・スロット合わせて200台弱を設置する中規模店舗。4月に入ってからも営業時間は通常通りだったんですが、1台置きに電源を切っていました。仮に全台埋まっても客と客の間が1台空くので、ソーシャルディスタンスを保てるという主張だったのでしょう。そのほかにも、無料で手袋を配布するなど、最大限の配慮をしたうえで、なんとか営業を継続させたいという思いのようでした。また、4月1日から禁煙化されたということもあって、店舗内のタバコ臭さはほぼ皆無。非喫煙者にとっては快適な状況だったと思います」

 このA店は、普段は必ずしも繁盛している店舗ではないという。

「近所にある大手チェーン店のほうが客付きが良くて、A店はいつもガラガラだったんです。でも、休業している大手チェーンの方から流れてきたのか、A店は通常よりも客付きが良かったように見えました。

 ただ、だからといって出玉が良かったかというと、まったくもってそんなことはない。この店は普段からそんなに出玉でサービスするタイプではなく、緊急事態宣言後も“通常通り”の回収モード。客にとっては、“パチンコやパチスロが打てる”ということ以外にメリットはなかったと思います。ちなみに客層は若い人もいれば、高齢者もいて、それもまた“通常通り”でした」

 結局、A店は都遊協が最後通告を出した翌日の4月25日から休業に入った。

 別の店はどうか。同じく緊急事態宣言後も営業を続けていた世田谷区内のB店について、藤井氏はこう話す。

「B店もまた、パチンコ・スロット合わせて200台程度を設置している中規模店舗です。4月に入ってからは、店外のネオンなどは消灯しており、遠くから見ると営業していないかのような雰囲気。でも、中を覗くとしっかり営業をしている、という感じでした」

 こちらの店舗は、特に客付きが良くなったというわけではなかったようだ。

「あくまでも私自身の主観ですが、この4月に何度かB店を視察したところ、いつもよりもお客さんは少なめだったように感じます。繁華街エリアでもなく、近所に競合店があるわけでもないので、他店からの客の流入ということもなかったのだと思います。そもそも常連客しか来ないような店で、しかもその常連客がパチンコ店に行くことを自粛した結果、いつもより客が減ったのでしょう」

 結局B店も4月末までに休業した。

他店休業の中で営業を続けても売り上げが伸びない?

 テレビのニュースなどでは、休業要請に応じない店舗に押し寄せるパチンコファンの様子が報じられることも多いが、実際にはそういった店舗ばかりではなかったようだ。

「最近のパチンコ店は、人気店とそうではない店舗との差が拡大する傾向がある。それこそニュースで朝の行列が報じられたホールは、そもそも人気店で日頃からある程度目立つ存在だった可能性も高い。今回の騒動がある意味宣伝となり、売り上げを大きく伸ばしたホールもあるでしょう。

 しかし、普段からそこまで繁盛していないホールに関しては、批判のなかで営業を続けたところで、必ずしも売り上げが伸びたわけではないはず。いわば、経営状況があまり芳しくないがゆえ、休業することができなかったという店舗もあり、そういった店はよリ一層苦境に立たされるばかりだと思います。おそらく、新型コロナウイルスの騒動をきっかけに閉店に追いやられる店も多数出てくるでしょう」

 すでに、パチンコホールを経営する企業としては、名古屋に本社があり都内で3店舗を運営する赤玉)と群馬県に本社がある有楽商事がすでに破産手続きの開始決定を受けている。

 なお、緊急事態宣言が5月31日まで延長された一方で、「3密」が発生しにくい状態になるように対策した場合に限って、パチンコ店の営業自粛の緩和が検討されている。とはいえ、世間からの批判も多く、感染者が多い地域では休業期間の延長も避けられない状況。今回の新型コロナウイルス騒動がパチンコ店に与える影響は計り知れないものとなりそうだ。