新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、人との距離をとる「ソーシャルディスタンス」を保つことができ、また接触機会も減らせるということで、外食チェーンの「ドライブスルー」に注目が集まっている。ロードサイドの店舗などで採用されていることが多く、車を持っている人たちには重宝されているようだが、利用者が増えたことで、こんな現象も起こり始めている。

 九州地方在住のAさん(40代女性・自営業)が語る。

「買い物のため、お昼時に国道沿いを車で走っていたところ、一番左の車線で妙に渋滞しはじめました。普段、混むことはない道路なので、事故か何かかな、と思っていたところ、吉野家のドライブスルーに入る車が道路にはみ出て渋滞を起こしていることが判明。慌てて車線を変更しました。以前までは、渋滞なんて目にしたこともない場所だったのに……」(Aさん)

 Aさんによれば、吉野家の数軒隣にはマクドナルドがあり、そこでもドライブスルー渋滞が起こっていたという。その1週間後、再びAさんが昼過ぎに車を走らせていると、やはり吉野家のところでドライブスルー渋滞が発生していた。
 
 一方で、Aさんが観察したところ、吉野家の店内で飲食したり、テイクアウトを待っている客は数人程度。また、近隣には別のファストフード店もあるが、そちらにはドライブスルーがなく、駐車場もガラガラ。あくまで「ドライブスルー」だけが混んでいたというわけだ。

 同じくドライブスルー渋滞を起こしていたマクドナルドでは、店内飲食を休止しており、テイクアウトのみ受け付けていた。Aさんはテイクアウトのため駐車場に車を停め、店内で待っていたが、Aさん同様のテイクアウト組は5組ほど。その他はすべてドライブスルーでの注文で、その列は2列にもなっていた。近隣住民によれば、最近は昼前から夕方かけて常に混雑していて、土日は3列で対応するほどだという。

 外出自粛要請を受け、全体の交通量が減っている中、ドライブスルーの周辺にだけ渋滞が起こっているわけだが、実際の利用者はどう考えているのだろうか。

 関東地方に住むBさん(30代男性・会社員)は、中学生と高校生の息子2人がいる4人家族。「テイクアウトメニューを店に入って買うより、ドライブスルーを活用するほうが圧倒的にいい」と語る。

「買い物は週に1、2回。基本的には家で食事を作りますが、ある日のお昼、息子たちが食べたいというので、スーパーからの帰りにいつも通りがかるマクドナルドのドライブスルーに寄ったんです。すると、いい気分転換になったようで、それ以来、買い物の帰りに時々寄るようになりました。

 同じように考えている人は多いのか、他の飲食店が軒並みガラガラのなか、ドライブスルーが混んでいたのは印象的でした。渋滞している時間はもったいないと思いますが、店の中に入るより感染拡大リスクは圧倒的に低いはず。車の中ならプライベートな空間も保てますし、店員との接触も最低限で済む。ドライブスルーに並んでいる人たちは、皆、同じように考えているのではないでしょうか」

 利用者それぞれの感染予防への意識の高さが、ドライブスルー渋滞を生んでいる側面もあるようだ。感染拡大を抑えるための、やむを得ない現象といったところだろうか。