新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛が要請される中での異例のゴールデンウィークも終了。普段なら「休みの間にリフレッシュして、休み明けから仕事をがんばろう!」と考えるものだが、今年はやはり様子が違う。テレワークでの在宅勤務も推進される中での“大型連休”を経験したことで、「曜日」の感覚がおかしくなってしまった会社員たちも多いのではないか。長くフリーランス生活を続けてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、曜日感覚を保つことの大切さと、その克服法を紹介する。

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 テレワークの導入による在宅勤務が推進されたことは、満員電車での通勤を回避できることに加え、仕事の効率もアップするなど、会社員たちに多くのメリットをもたらしていると思います。今回これがよ〜く分かりましたし、コロナ収束後もこの流れは続いてほしいと願います。しかし、テレワークと外出自粛の影響もあってか、このゴールデンウィーク中に仕事仲間の曜日感覚が完全におかしくなっており、少し心配しています。

 何しろ日付を間違えたり、元々決まっていたウェブ会議の曜日を間違えたりすることが頻発。日程を決めようにも、皆が混乱しており「曜日」で指定しようが「○月○日」で指定しようが「あれ、今日って何曜日でしたっけ?」「あれ、今日って何日だったか感覚が分からなくなってきました」といった返事が来てしまうのです。

 もちろん、カレンダーやスマホを見ればすぐに分かるはずですが、ずっと家にいるから、体感的に「日にち」「曜日」の感覚が分からなくなっているのでしょう。特に、ゴールデンウィーク中でも何らかの仕事がある人は、家族での外出予定等もないため、「今が仕事を終わらせるチャンス!」とばかりに在宅で仕事を進めているようです。だからなのか、休日だろうと夜中だろうと、メールの返事はみんな早くなっています。そもそも、ゴールデンウィーク中にもかかわらず会議を設定しているのですが、それを誰も不思議だと思わない異例の事態になっています。

 日にちや曜日の感覚がおかしくなっている背景には、不規則な生活が続いているがゆえの時間感覚のズレが重なっている点もあるのではないでしょうか。

 5月6日1時57分、千葉県で震度4の地震が発生し、緊急速報メールが「グワングワン」と大音量で鳴りました。私もそこで目が覚め、一度目が覚めるとなかなか寝られない性質のため、そこから仕事を開始したのですが、仕事をしながらネット記事を見ていたらイギリスのコロナによる死者が3万人を超えた、というものがありました。

 そこで、ロンドン在住の予備校時代の友人にフェイスブックでメッセージを送ったところすぐに返事がきました。こちらの時間では朝4時、あちらは夜8時です。そこから30分ほどお互いメッセージを送り合ったのですが、自分が眠くなったのは6時20分。そこから4時間ほど寝たらすっかり前日の出来事を2日前のことだと思ってしまい、5日の夕方に2つの「リモート飲み会」をやったにもかかわらず2日前のことと感じてしまったのです。この時、自分も日にちや曜日の感覚がおかしくなっていることを実感しました。

週に2日でよいから曜日ごとのルーティンを

 知り合いのネットニュース編集者も私の指摘に同意します。

「テレワークに慣れてきたことに加え、コロナによって休みの日の予定がなくなったのが大きいですよね。ずっと家にいるから、結局仕事がある人は仕事をしてしまうし、予定がないものだからライターもガンガン原稿を書いてくれるし、レスがとにかく早いんです。

 自分が会社に行かないだけでなく、子どもも学校に行かないため、家の中でも平日と休日の違いはほとんどありません。今までなら休みの日は家族で野球を観に行くとかいろんな予定がありましたが、それも全部なくなっています。テレワークが推進されたことは日本人の働き方を考えると大きなメリットでしょうが、曜日感覚がおかしくなってしまうと、知らぬ間に休日出勤ならぬ在宅での休日勤務も増えてしまいがちなので、そこは問題かもしれません」

 同氏が言う「曜日感覚」は、仕事をするうえで本当に大事です。たとえ同じような仕事を繰り返している人でも、曜日感覚によってメリハリをつけることができます。海上自衛隊は金曜日にいわゆる「海軍カレー」を食べる習慣がありますが、これは洋上で曜日感覚を忘れないためだと言われています。

 私はフリーランスの生活をもう19年続けているため、ずっと曜日感覚がおかしくなりやすい環境で仕事を続けています。だからこそ、ルーティンをつくることの重要性は知っているつもりです。

 実際、ここ数年は、毎週日曜日の夜は同じ飲食店に通う生活を続けています。日曜日の19時30分にその店に行くというルーティンを決めておき、会計時に「来週はどうしますか?」と聞かれると、「お願いします」と予約するようにしています。これにより「明日からの新しい1週間、頑張るぞ!」という新たな気合を入れることができるのです。今は同店で飲食はできないものの、日曜の夕方には1時間20分ほどかけて歩いてテイクアウトしに行って、曜日感覚を維持し続けています。

 あと、コロナ騒動になって以降、木曜日には自宅から新宿までの約4.5kmを歩くようにしています。朝食を7時30分頃に食べてから風呂に入って少し仕事をし、9時40分に自宅を出て新宿の小田急百貨店の地下食料品売り場に開店時間数分後に到着。ここでお目当ての食品を買ってから、帰ってまた仕事をするのです。

 今は「木曜日と日曜日」というルーティンを2つ作っているだけですが、これにより曜日感覚は最低限維持できていると思います。

 外出自粛が要請されている中でのゴールデンウィークを経て、曜日感覚がおかしくなってしまった人は大勢いるでしょう。ただでさえストレスを貯めやすい環境で、少しでもメリハリのある生活を送るためには、曜日ごとのルーティンを作ってみてはいかがでしょうか。それは週に2回でもかまいません。そうすることで、平日と土日の区別がはっきりするようになり、日々のストレスも少しは和らぐのではないでしょうか。