間もなく株主総会シーズンを迎え、各企業の総務部はその準備に忙しくなるが、今年は新型コロナの影響で、すでに決算手続きの遅れなどを理由に、東芝やオリンパスが延期を表明している。

 しかし、東京証券取引所の調査では、延期を決めたのは556社のうち39社にとどまる(5月1日時点)。早稲田大学名誉教授の上村達男氏が指摘する。

「7月以降に延期すると3月末時点の株主が配当を得られなくなることもあるので、株主との間で訴訟などのトラブルが生じる怖れがある。だから延期をためらっているのでしょう」

 また、すでに発表されている新社長も株主総会を経なければ正式就任できない。新型コロナの影響で株価が下がり株主への説明が求められる中、延期を決断するのは難しい。企業にとって株主総会は“不要不急”ではなく、「火急の用件」なのだ。

 ただし、予定通り開催するとなると、準備の負担は増すことになる。

「例年ならこの時期、各社の総務部は会場の手配や招集通知の発送に加え、必要な資料の準備、想定される質疑応答の作成に追われていますが、今年はそれに加えて新型コロナ対策が必要になる。会場では座席間隔を空けたり消毒液を用意したりといったことが必要となりますし、ライブ配信やネット議決の準備もすることになるかもしれない」(全国紙経済部記者)

 航空、鉄道会社など大幅な収益悪化の見通しを発表した企業の中には、すでに日時や場所を発表しているところもあるが、

「必要な感染予防措置を講じる予定ですが、1か月以上の先のことなのでどうなるか分からず、具体的な内容については回答することができません」(JR西日本広報部)

「現時点では予定通り6月19日に開催する方向です。具体的な感染予防対策の内容は、5月中旬に株主の皆さまにお送りする予定の招集通知に掲載する予定です」(JAL広報部)

 という状況だ。

 株主総会で大荒れ必至のトラブル企業の場合は、これがどのような影響を与えることになるのか。一足早く4月23日に開催したのが積水ハウスだ。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。

「大株主の和田勇前会長が、土地取引で積水ハウスが55億円を騙し取られた『地面師事件』をめぐって、阿部俊則会長らの退任を提案するも大差で和田前会長の提案が否決されました」

 この決議に有利に働いたといわれるのが新型コロナだった。

「緊急事態宣言の影響で予定していたホテルが使えず、本社ビルに場所が変更されました。会場は椅子の間隔を広げ、株主の議決権行使は書面で行なわれたが、出席者は昨年の10分の1にとどまり、2時間余りで紛糾せずに終わった。多くの株主は会社の内紛よりも、感染拡大を続ける新型コロナが気になったようです」(同前)

※週刊ポスト2020年5月22・29日号