新型コロナウイルスには誰が、いつ感染するかわからない。もしもの時のために「医療保険」に加入しておこうと考える人は多い。しかし、病気やけがで手術や入院をしたときにカバーしてくれる「医療保険」は、保険のプロいわく、「基本的には加入すべき人はいない」のだという。生命保険会社勤務の経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんはこう語る。

「入院給付金が1日5000円もらえる一般的な医療保険の保険料は月々約3500円ほど。2週間入院すると7万円、1か月なら15万円になります。“月々3500円で15万円ももらえるならお得”と思うかもしれませんが、長い目で見ればむしろ大損。保険料を30年間払い続けたら126万円にもなるうえ、最大60日まで給付される契約なら、どんなに長く入院しても30万円しかもらえないことになります。100万円近くも損をする」

 では、不幸にも新型コロナに感染した場合はどうか。

「感染して入院した場合はもちろん、軽症で自宅待機やホテルに隔離となった場合でも、医師の診断書があれば、医療保険の給付金は受け取れます。でも、その金額はほかの病気やけがと同じ1日5000円で、2週間入院なら7万円だけ。

 そもそも新型コロナは『指定感染症』になっているので全額公費負担。自己負担はゼロです。いまのところ無症状の場合の検査は全額自己負担とされていますが、それでも指定感染症の自己負担額は最大2万円程度ですし、わざわざ高い保険料を払っても、病院や臨時施設で医師の治療を受けなければ1円もおりません」(横川さん、以下同)

健康保険から「疾病手当金」も

 新型コロナに限らず、医療費は公的な社会保障で手厚くカバーされるので、自己負担は少なく済むようになっている。

「会社員が加入する健康保険(公務員は共済組合)は、病気やけがで仕事を休むと1か月の給与の3分の2にあたる『傷病手当金』が出ます。平均給与(平均賃金日額)の67%が最長で1年6か月間支給され、これには所得税も住民税もかからない。3日続けて休むと4日目から支払われるので、出欠勤を繰り返すのではなく、たとえ社長から呼び出されたとしても、3日続けて休むのがポイントです」

 1か月の医療費を一定額で抑える「高額療養費制度」も強い味方だ。

「高額療養費制度を利用すれば、たとえ医療費が月100万円かかったとしても、一般的な年収(約370万〜770万円)なら自己負担が9万円くらいで済みます。年収によって自己負担額は変わってきますが、医療保険に加入しなくても貯蓄で充分カバーできるはずです」(ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん)

※女性セブン2020年5月21・28日号