新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、都心では電車通勤から自転車通勤に切り替えたという人も増えているという。そんな中、満員電車を心から嫌うあまり、会社員時代は自転車通勤をしていたというネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自転車通勤の素晴らしさを述べる。

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 事故に遭う可能性や労災認定がどうなるのか? という問題については「様々なルールを守って、安全運転を心がけましょう」としか言いようがないのですが、自転車通勤、本当に快適でした。私は1999〜2001年にかけて、会社員ながら、ひょんなことから東京大学の駒場寮に住んでいたのですが、駒場から会社のある芝浦(最寄りはJR山手線・京浜東北線の田町駅)までは自転車通勤をしていました。

 距離は大体8kmで、所要時間は35分ほどでした。東大駒場キャンパスの東側に位置する「炊事門」を出るとすぐに山手通りがあり、そこから国道246に入り、坂を一気に下る。渋谷のガード下を通過したら明治通りに入り、そこから恵比寿・広尾・白金を通過し、古川橋で左折して麻布通りに入って慶應義塾大学の方に向かい、最後は札の辻の交差点を渡って芝浦の会社に着きます。電車通勤であれば、井の頭線の駒場東大前→渋谷、JR山手線の渋谷→田町で30分ほどでしょうか。どちらの電車も悶絶の混雑列車です。

 それが、自転車通勤の場合は、毎日最低往復16kmのいい運動になりますし、何よりも楽しいのが、ランチのためにけっこう遠出ができることでした。たとえば、会社から1.5kmほどの場所にある三の橋近くの家系ラーメン店「笑の家」に自転車ならば10分ほどで着いてしまうのです。

 さすがに一杯のラーメンを食べるために往復50分かけて歩いたり、往復タクシーで1600円ほどをかけるのはバカげている。自転車があるお蔭でランチの選択肢が増えたことは非常にありがたかったです。

 当時はなぜかラーメンにハマっていて、会社帰りにラーメン屋を訪れる生活をしていました。自転車であれば、ありとあらゆる場所のおいしいラーメンを食べることができたのでした。

 となると、本当に毎日、「今日はどこでラーメンを食べようかな♪」ということが楽しみになってくるんですよね。

 今でこそコロナに気を遣う時代ではありますが、当時から風邪やインフルエンザといった感染症を満員電車でうつされるリスクもあったため、あの時の自転車通勤は結果的に健康面を考えても良い判断だったと思います。

 自転車通勤をしていることについてはキチンと会社には伝えていました。カゴが取れたオンボロのママチャリだったのですが、同僚も時々「打ち合わせに行きたいから自転車使わせて」なんて言って私は自転車のカギを渡していたりもしました。

 呑気な時代だったのかもしれませんが、部のメンバーが共通で使える自転車があったというのも便利なものでした。

 自転車通勤がもたらしたもう一つのメリットは、やたらと東京の道に詳しくなることです。私はクライアントとの打ち合わせにも自転車で行っていたため、裏道を事前に地図で調べたりしながら最短ルートを常に考え続けていました。

 そうなると、今、年を取ってからタクシーに乗るようになってからもヘタすりゃタクシーの運転手よりも裏道を知っていたりするわけで、タクシー料金も節約できるようになっています。

 当時の私は終電過ぎまで残業をすることが多かったのですが、余計なタクシー代を使うことなく自転車で駒場寮に帰れたため、会社の経費削減にも貢献できました。恐らく本原稿は様々なツッコミポイントはあるかとは思うものの、自転車通勤の快適さは本気で伝えたいな、と思います。