新型コロナウイルスの感染拡大で、全国の大学でオンライン授業が導入されたかと思いきや、緊急事態宣言が解除されてからは、早くも対面講義が再開された大学もある。こうした講義スタイルの頻繁な変化に戸惑う学生は少なくないだろう。

 ところが、外出自粛要請の解除を受けて困惑しているのは学生だけではない。大学教員のあいだでも、「集まりたがる」教員と「オンライン派」の教員のあいだに、意識の溝が生まれているという。地方の私立大学で勤務する男性教員・Aさん(30代)が語る。

「これまで月2回の教授会はZoom(ウェブ会議ツール)で行ってきました。実際、これで問題なく会議が進められていたのです。しかし緊急事態宣言が解除されるや、一部の年配教員が『次回から大学に集まろう』と言い始めた。それでZoomで多数決を採ることになり、6月から大学に集まるようになりました。実際には、その6月の会議も一瞬で終わり、完全にオンラインで済む内容でした。

 なかには『8月に、うちのゼミの合宿をやりたいが良いか?』、『ゼミ生といつから飲み会をしていいか』などと質問をする教員もいました。それに対して『もう、許可とかいらないんだし、飲んじゃえば?』という反応まであった。そこまでして、なぜ集まろうとするのか疑問でなりません。僕自身、下っ端の教員なので、声を大にして反対意見を言えなかったのが心苦しい。

 一部の教員はマスクもせずに入構し、教授会後は、『この後、飲み会に行く先生はこちらへ!』と、連れ立って居酒屋に向かうわけです。まだ学内は学生の立ち入りを制限している状況なのに、教員側の意識の低さに愕然としています」(Aさん)

 こうした「集まりたがる」教員と「オンライン派」の教員の溝は、他の大学でもあるようだ。関東地方の中堅私立大学で勤務する女性教員・Bさん(40代)が語る。

「私の学部のなかでも、『前期の期末テストは、大学に集めて受験させてもいいですか?』、『春にキャンパスライフを送れなかった学生がかわいそうだから、夏休みにキャンパスで臨時の歓迎パーティーをしたい』など、とにかく集まりたがる教員がいますね。

 講義についても、年配の教員ほど『オンラインでは学問の熱が伝わらない』、『後期は絶対に大教室で講義したい』などと、オンラインを頑なに拒否する人がいます。ここだけの話、そういう“集まりたがる”タイプの先生の講義に限って、学生からの授業評価アンケートの結果は、低評価なのです」(Bさん)

 ひざを突き合わせ、白熱した議論を交わしたい。あるいは定期的に飲み会の場を設けて親睦を深めたい――。こうした大学教員の考え方自体は理解できても、「集まる」ことのリスクはまだ消え去っていない。そうした状況であるだけに、「オンライン派」の教員たちは、埋めがたい意識の溝を苦々しく思っているようだ。