7月に入り、帰省がきっかけで、新型コロナの感染が拡大する例が増えている。長野県の安曇野市では、7月下旬、東京から帰省した40代の男性の感染が判明。濃厚接触者とされた帰省先の親族10人のうち、2人に発熱などの症状が出ている。

 立命館大学産業社会学部教授の筒井淳也さんが指摘する。

「帰省は普通の旅行よりもリスクが高い。複数の世帯の人が一つの空間で寝たり、食卓を囲んだりするので、濃厚接触になりやすいのです」

 自分の実家に帰ることができない嘆きが聞こえる一方で、喜びの声をあげる女性たちも少なくない。夫の実家に帰省しない格好の口実ができ、「肩の荷が下りた」という人もいるようだ。

「日頃から、義実家での気遣いや居場所のなさをストレスに感じていた妻たちはホッとしていることでしょう。嫁の感覚からすると“他人の家”に行くわけですから、それがなくなると考えただけで相当気楽なのではないでしょうか」(前出・筒井さん)

 しかし、安心するのはまだ早い。コロナ禍といえども、息子や孫の顔見たさに「どうしても帰って来てほしい」と願う義母もいるからだ。一部では、どうしても帰省してほしい義母と、帰りたくない妻の抗争が繰り広げられている。

 都内在住で主婦の川奈唯さん(仮名・39才)は義母からの「鬼電」に悩んでいる。

「夫の実家はまだ感染者数があまり多くない県なので、ご近所に白い目で見られるのが耐えられません。でも、義母は『夜に来て、東京ナンバーの車はこっそり車庫の奥に入れれば大丈夫。ちゃんとスペース空けておいたから!』って…。それだけではなく、『消毒液、大量に買っておきました』『新しいお店ができたから一緒にランチしたい』とか、毎日10回近くも“帰ってこいコール”がくるんです。連日の電話攻撃にもうヘトヘトで根負けしそうです…」

 今年初めに義父が亡くなったという女性は、新盆を迎えるのを理由に義母から帰省を迫られたという。

「夫の実家は東京。正直、感染が怖いので行きたくないんですよね。でも、義母は『新盆なんだから、あなたたちが来て仕切ってちょうだい』の一点張り。私たち夫婦は飲食店を経営しており、感染防止に神経を尖らせているので『コロナのことがあるから今年は遠慮します』と伝えたんですが、義母はまったく意図を理解していません。

 それでも何かと理由をつけて拒否していたら、『冷たいわね。だったらお盆は私が仕切るから、ご近所に配るものぐらい用意して!』と電話をガチャン! 結局、義実家のご近所に大量の名産品を手配したので、定額給付金がパーになりました」(長野県・40代の飲食店経営者)

 帰省しない権利を勝ち取った代わりに、まんまと義母の術中にハメられたというケースも。

「広島に住む義母は79才。高齢なので、私たちが感染させてしまうリスクを考え、『今年は帰省を見合わせる』と夫が電話しました。そうしたら、義母は『私はお父さんに先立たれてひとり寂しく暮らしているのよ』とまくしたてました。『それなら、母さんが東京に来る? 怖いだろ?』と夫が聞いたら『いまは怖いけれど、実はね』と、秋に都内で大好きな歌手のコンサートがあることを話し始めたんです。

 結局『お盆はあきらめるからコンサートに招待して』と、チケットを買わされる羽目に。コンサートで上京の際は、わが家に泊まることになるのでしょう。歌手のかたには申し訳ないですが、コンサートが中止になることを心底願っています」(東京都・50代の主婦)

 コロナ禍の帰省にまつわるエピソードは、今後もますます増えてくるだろう。

※女性セブン2020年8月13日号