新型コロナウイルスの感染拡大は留まるところを知らず、特効薬もワクチンもいまだ開発されていない。自分や家族の身を守るためには、手洗いやアルコールなどでの消毒が重要だが、それが行きすぎて、トラブルになっているケースもあるという。

 ある大手エレベーター管理会社からはこんな怒りの声が届く。

「指先でボタンを押す前に、アルコールスプレーを吹きかける人が続出しています。ほかにも、直接手で触れるのが嫌で鍵などで押す人が多く、ボタンの表面が傷ついてボロボロになっています。ボタンの故障だけでなく、けがや誤作動の恐れもあるので、即刻、やめてください」

 多くの人が集まるスーパーや電車内は、感染リスクの高い要注意スポットだ。その分、 “消毒おばさん”の出現率も高いという。

「年配の女性が振りまいたアルコールスプレーが、幼稚園児の息子にかかったんです。たまらず息子が咳き込むと、謝るどころか『コロナに感染しているんじゃないでしょうね』といった目線でにらみつけてきました。その日は、悔しくて夜も眠れませんでした」(群馬県・33才・主婦)

 電車内ではつり革や手すりを、持参したアルコール消毒液で念入りに拭く人もいるようだが、これも行きすぎるとトラブルのもとになるという。

「朝の通勤電車で50代くらいの女性が使っているアルコールのにおいが強烈。少量ならいいのですが、つり革が濡れるほど吹き付けるんです。においが周囲に充満して、朝から気分が悪くなりました」(神奈川県・28才・会社員)

 消毒や過剰な感染対策で、人間関係に変化があった人も。

「パート先で仲のよかった同僚が新型コロナの流行以降、人が変わったようになってしまって。一緒に昼食をとるときも、椅子やテーブルだけでなく、箸やスプーンまで除菌。おまけに、フェイスシールドをつけたまま無言で食べるんです。私たちがバイ菌扱いされているみたいだし、そんなに気になるなら、一緒にランチしなければいいのに。正直、不愉快でした」

 こんな“衝撃シーン”に出くわした人もいる。

「向かいの奥さんが散歩後の犬の頭に消毒スプレーをかけているのを見てしまって。まるで動物虐待みたい。もう少し、違うやり方があるんじゃないかな」(東京都・55才・会社員)

“消毒おばさん”が出現するのは、家の外だけではない。家族がすっかり変わってしまった、と嘆くのは東京都の男性会社員だ。

「今年の4月頃から、妻の手が荒れて、出血しているんです。どうも一日に何十回も手洗いや消毒をしているみたいです。『そんなに気にしなくてもいいんじゃないの』と伝えたら『あなたは危機感が薄いのよ!』と逆上されて。ぼくは妻が心配で言っただけなのに…。もうなにも言えません」

 迷惑なのは近くにいる家族だけではない。離れて暮らす家族からも攻撃が。

「義理の母から『自転車に乗る前にはハンドルとサドルを除菌して』『玄関のドアノブだけじゃなく、鍵の部分も忘れずに』など、毎日のようにLINEのメッセージが届きます。注意してくれるのはありがたいのですが、あまりにしつこくて…。返事しないわけにもいかないし、悩ましいです。“遠隔消毒おばさん”には、本当にうんざりです」(静岡県・37才・主婦)

自宅にひきこもる“おじさん”も深刻

 新型コロナへの過度な防衛は消毒だけに限らない。徹底的にひきこもる、“絶対に家から出ないおじさん”も家族にとっては迷惑だ。

「友人の夫が仕事を辞めたそうです。まだ50才くらいで、教育関係の仕事をしていたのですが、うつされたりうつしたりしたらと思うと仕事どころじゃないと言い出して。友人が励ましてもダメでした。

 友人は仕事から帰宅すると、玄関で衣類を全部脱いでお風呂場へ直行するよう夫に言われているようです。その間に、自室から夫が出てきて、友人の靴の裏を消毒したり、洗濯できない上着に除菌スプレーをたっぷり吹きかけるそうです」(神奈川県・53才・主婦)

 それでも、2人が納得しているならまだいい方だ。静岡県で、一家で自営業を営む女性は、夫の豹変ぶりに頭を悩ませている。

「もともと、自治会の役員や、地元のボランティアなどに張り切って参加していた夫ですが、コロナ自粛をきっかけに全部辞めてしまいました。感染対策だと思っていたのですが、どうもコロナを言い訳に、面倒なことは全部やらないだけのような…。書店やコンビニにも出かけなくなり、『行ってきて』と私に押し付けてくるのです。私は感染しても構わない、ともとれる態度にコロナ離婚もチラつきます」(埼玉県・49才・主婦)

 もちろん、適度な消毒、不要不急の外出を避けたステイホームは大切なことだ。しかし、ここまで極端になってしまい、周囲に迷惑をかけるのは問題だろう。

※女性セブン2020年8月13日号