「周囲の人が黒柳徹子さんに“コロナによる自粛中にやっておきたいこと”を聞いたら、“遺言を書こうと思ってね…”なんて言っていたそうです。最近、盛大に家の断捨離もしたみたいですし、このコロナ禍で、いろいろ考えるところがあったのかもしれませんね」(テレビ局関係者)

 黒柳徹子は8月9日に87才の誕生日を迎えた。今年で45周年となる『徹子の部屋』(テレビ朝日系)を筆頭に精力的な仕事ぶりはその年齢を全く感じさせない。先日は、生田斗真(35才)との朗読劇『ハロルドとモード』を9月下旬から上演することを発表したばかりだ。

「黒柳さんは常に何かをやっている人。まだまだお元気だし、遺言のことも冗談めかして言っていた部分もあるけど、独身で子供もいないし、悩ましい問題ではあるのでしょう」(前出・テレビ局関係者)

 黒柳は1933年、バイオリニストだった父・黒柳守綱さんと、エッセイストの母・朝さんの間に生まれた。きょうだいは長女の黒柳の下に4人いる。長男は幼少期に亡くなったが、バイオリニストの次男・紀明さん(79才)、バレリーナでエッセイストの次女・眞理さん(76才)、黒柳の24才年下の三男・Aさん(63才)。

「以前はきょうだいの話をよくされていましたが、最近は聞かなくなりました。ほとんど交流はないようです」(黒柳の知人)

 高齢のきょうだいに代わって、いま彼女を側で支えているのは、オートクチュールのビーズ刺繍デザイナーとして活躍する田川啓二さん。2002年に田川さんが『徹子の部屋』に出演したのがきっかけで、以来、田川さんが黒柳の衣装を手がけたり、ともに作品展を開くなど、深い交流を続けてきた。2016年には黒柳の事務所「ローラン事務所」の代表取締役にも就任している。

「田川さんと黒柳さんは二人三脚で本当にいい関係に見えます。黒柳さんがインスタグラムを始めたり、若い読者層を持つファッション雑誌に出るようになったのも彼のアイディアだといわれています。ご自身の仕事もあるため、2018年には代表取締役の座をほかの人に譲りましたが、黒柳さんのマネジメント業務は継続しているようです」(前出・黒柳の知人)

 過去には毎年「長者番付」に名を連ね、不動産を多数保持していた彼女は、今日まで独身を貫いてきた。そんな彼女は遺言書に何を書こうというのだろうか。

「実は黒柳さんは2017年頃から少しずつ終活を始めています。多くの不動産を整理し、厳選した数軒を所有していたのですが、1〜2年前からその残りの数軒も売却しています。都内の一等地の物件ばかりなので、総額で10億円はくだらないのではないでしょうか」(前出・黒柳の知人)

 相続実務士の曽根惠子さんによれば、生前に不動産を売却することは、こんなメリットがあるという。

「不動産を売却して現金にしておくと、相続税は高くなるデメリットはありますが、“扱いやすい資産になる”というメリットがあります。高齢になると、不動産の契約更新や売却など、複雑な手続きが難しくなる。もし認知症になったら、そうした契約手続き自体ができなくなるかもしれない。そのため、認知症対策として、不動産を売却して現金にしておく人もいます」(曽根さん)

 また、複数の相続人がいる場合、不動産のままより、現金化されている方が分配しやすい。

「黒柳さんも相続や遺産分割のことを考え、元気なうちに現金化しておいたという可能性もあります」(曽根さん)

配偶者や子供がいないと、渡したい相手に相続できる

 一般的に、遺産は配偶者と子供が法定相続人になるが、黒柳はどちらもいないため、遺産は3人のきょうだいが相続するのが普通だ。

「亡くなったときに黒柳さんの3人のきょうだいが存命なら、彼らが遺産を相続することになります。ただし、きょうだいも高齢なので、事前に準備が必要でしょう。相続人が高齢の場合、そのかたが相続後すぐにお亡くなりになり、再び相続が発生する“二次相続”の問題があります。相続税が二重にかかってしまうのを避けるため、遺言書を書いておいて、財産を甥や姪に遺贈するケースもあります」(曽根さん)

 複雑なのは遺言書によって、会社関係者やお世話になった人など「きょうだい以外の人」に遺産を相続させることも可能だという点だ。黒柳には田川さんをはじめ、支えてくれている人がいる。また黒柳が行っている社会福祉活動の継続など、彼女の意志を受け継ぐ活動のために、お金を残しておくことも考えられる。

 過去には黒柳の著書『窓ぎわのトットちゃん』の印税を社会福祉法人「トット基金」に投じ、就労継続支援B型施設「トット文化館」と「日本ろう者劇団」の運営を行っている。同書は1981年に発売されて以降、国内で800万部、中国で1000万部を超える大ベストセラーだ。

「ほかにも、死後に新たな財団を作って活動していくとなれば、当然、活動資金が必要になります。その場合、第三者である活動の運営者などに遺産を残すという考えもあり得るでしょう」(曽根さん)

 遺言書の内容次第では、遺産の100%をそうした“後継者”に残すこともできるという。

「相続人が配偶者や子供の場合、一定の相続財産が法律上保護されています。つまり遺言書に“100%別の人に”と書いてあっても、配偶者と子供は法定相続割合の半分は請求することができるのです。これは『遺留分』と呼ばれ、全体の遺留分として認められるのは法定相続割合の2分の1です。ちなみに相続人がきょうだいの場合は、遺留分はありません。

 また黒柳さんのように子供がいない場合は、24才離れた三男を養子にすれば、二次相続がすぐに発生しません。相続で優先されるのは配偶者で、次いで直系卑属(子供や孫)なので、兄弟姉妹間で養子縁組する人もいるのです」(曽根さん)

 つまり遺言書に「100%、相続人以外の人に遺産を遺贈させる」と書かれていれば、きょうだいは1円も相続できなくなる。ただし、この場合は相続トラブルが発生しやすい。

「遺産を期待していたのに、もらえなかったきょうだいは驚き、揉めるケースはよくあります。相続をスマートに行うためには、相続人の事情も考慮することが重要。生前に伝えておく、了解をもらっておくことが大切です」(曽根さん)

 黒柳も相続トラブルを避けるため、早急に遺言書の作成にあたった方がよさそうだ。

「高齢のきょうだいと年の離れたきょうだい関係、近くで支えてくれる仕事のパートナー、社会活動への貢献など黒柳さんの相続は一般の人からすると驚くほど複雑。コロナをきっかけに遺言書を作成しようというのは遅すぎるくらいでしょう」(曽根さん)

 テレビ黎明期から第一線で活躍するタレントというだけでなく、作家や女優、平和運動家など多くの顔と影響力を持つ黒柳の財産は計り知れない。それゆえ相続にもさまざまな課題があり、本人も苦慮しているのだろう。黒柳の遺言書作成は一筋縄ではいかないかもしれない。

※女性セブン2020年8月20・27日号