生活費などからこっそり抜き出し、蓄えておく「へそくり」。こっそりお小遣い程度にお金を貯めているというイメージがあるかもしれないが、そのへそくりがビッグビジネスへとつながっていくこともある──。

 手芸材料のクラフトバンドを販売するネットショップ『エムズファクトリー』代表取締役の松田裕美さんは、2003年にこのサイトをオープンし、いまや年商7億円超の企業に成長させた。パワフルな経営者だ。その元手は、緊急事態に備えて毎月の生活費からコツコツ貯めたへそくりだ。

「結婚前から“へそくり”をしていました。ここなら誰にも見つからないだろうと冷凍庫に隠していたら、泥棒に入られ、警察官から『女の人はキッチンまわりに隠しがち。初歩的なミスですね』と、注意されてしまいました。

 その後、いろいろ考えて、掃除機のノズルの中に隠していたときもあります。ただ、掃除のたびに取り出すのが面倒くさいのでやめました。長靴の中にも隠しましたが、隠し場所を変えすぎて、わからなくなり……(笑い)。結婚後は専業主婦でしたので、生活費の中から数千円ずつ、封筒に入れて、子供のタンスの中にしまっていましたね」(松田さん・以下同)

 子供の学校の保護者会の手芸教室で、クラフトバンドバッグと出合ったのをきっかけに、その材料を仕入れようとしたことから現在の会社をスタート。夫に完全に内緒で起業を決めたため、へそくりの7万円を元手に起業した。

「家族に迷惑をかけないために、へそくりを使おうと思ったんです。世の中にはお金で解決できることがたくさんありますが、誰か知り合いに借りると、ずっとそのことが尾を引きます。少しずつでも手元に自由になるお金があると、夢を叶える手助けになるんですよね」

【プロフィール】松田裕美さん/『エムズファクトリー』代表取締役。クラフトバンドの普及、講師の育成が目的の『クラフトバンドエコロジー協会』代表理事も務める。

※女性セブン2020年9月24日・10月1日号