トラベル、イート、商店街、イベント……政府の「Go Toキャンペーン」では、感染対策と経済活動の両立を目指した取り組みが展開されているが、制度のほころびを指摘する声も多い。飲食店を支援する「Go Toイート」キャンペーンを利用した20代女性にも、思わぬトラブルが待っていた。フリーライターの吉田みく氏が聞いた。

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「正直、複雑な気分です。やっていることはセコく、素直に喜べなかったです」──都内在住のメーカー勤務、坪倉真子さん(仮名・28歳)は、先日開かれた女子会での「Go Toイート」キャンペーンのポイントについて、そう不満を漏らしていた。

「Go Toイート」キャンペーンとは、〈感染予防対策に取り組みながら営業している飲食店および、食材を供給する農林漁業者を支援するため〉の取り組みだ(キャンペーン公式サイトより)。各都道府県が販売する〈プレミアム付き食事券〉と、〈飲食予約サイトの利用によるポイント付与〉の2つがある。

 10月から始まった飲食予約サイトのポイント付与では、昼食時の予約で一人当たり500円相当、夕食時の予約で同1000円相当のポイントが実際の来店後に付与され、後日飲食代として利用することができる。1回の予約で10人分(最大1万円)までが付与される。

 このポイントは予約者に付与されるため、たとえば団体での利用では予約した幹事が“ポイント総取り”となる。そのため、一部では「不平等」との声も聞こえる。また、実際の予約人数よりも少ない人数で来店してポイントを余計に貰おうとするケースや、予約で得られるポイントを大幅に下回る金額で食事を済ませて帰るなどの問題も起きている。

 坪倉さんが冒頭で「複雑な気分」と語った理由は何だったのか。

「大学時代のサークルメンバー6人で、Go Toイートを利用して女子会を開くことになりました」(坪倉さん、以下同)

 今年は新型コロナウイルスの影響でなかなか集まることができなかった6人だが、忙しい合間をぬって予定を調整。そして先日、女子会は開かれたそうだ。

「サークルメンバーの一人が『私が幹事やるね! 予約しておくね!』と言ってくれたので、任せることになりました」

 久しぶりの女子会は、終電ギリギリまで盛り上がるほど楽しかったそうだ。ポイントについては、幹事の総取りになることは皆が知っていたという。坪倉さんは、当然、次の女子会でポイントを使うものだと思っていたのだが……。

「女子会の後、幹事を引き受けてくれた子が、グループLINEで結婚報告をし始めました。とても嬉しい気持ちだったのですが、『この前のポイント、両親の顔合わせの会食で使ってもいい?』と言われたんです。は?って感じですよ」

 坪倉さんとしても、もちろん幹事を引き受けたくれた友人にお祝いを渡したい気持ちがあったのだが、勝手に「Go To」のポイントを使おうとする考えに冷めてしまったという。しかし、坪倉さんのその考えは少数派だったようだ。

「5人のうち3人は、『もちろんだよ〜! おめでとう!』とコメントを返していました。私ともう一人だけが反対意見。心が狭いんでしょうか?」

 結局、反対意見を言えないまま流されてしまい、女子会で幹事が得たポイントは「両親の顔合わせ会」に使われてしまったとのこと。坪倉さんは、納得がいかないと憤っていた。坪倉さんはこの件を機会に、この女子会メンバーとの関係を見直そうと思い始めたという。

 もらって嬉しいはずの「Go Toイート」キャンペーンのポイントが招いたトラブル。幹事が人数分のポイントを得てしまうシステムである以上、前もってポイントの使い方をグループ内で話し合っておく必要がありそうだ。