日本の経済を動かす、企業経営者たち。そんな彼らの資産はどれほどなのか──。今回、上場企業約4000社の決算書や大株主の情報などを分析・検索する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力を得て、上場企業の有価証券報告書から個人の大株主を抽出し、保有株の時価総額で上位の150人をランキング化。2020年10月末時点の「新・株長者」ランキングを作成した。

 上位には、ソフトバンク会長・孫正義氏(1位・2.5兆円)、ファーストリテイリング会長・柳井正氏(2位・1.5兆円)、キーエンス名誉会長・滝崎武光氏(3位・1.4兆円)など大手企業の創業経営者が並ぶ。

 そうした有名企業の創業者に割って入るのが、IT系を中心に独自のサービスで新規上場(IPO)を果たし、巨額の資産を手にした若き社長たちだ。しかし、彼らの素顔はあまり表に出てこない。

「堀江貴文氏のライブドア事件以降、目立つことはマイナスだと考える若手起業家が増え、プライベートの露出を嫌うようになった」(『経済界』編集長の関慎夫氏)

 40代でメディア露出が多いのは、タレントとの交際や豪遊ぶりで知られたサイバーエージェント社長・藤田晋氏(12位)とスタートトゥデイ社長・前澤友作氏(15位)だ。

 そんななか注目されるのが、ネットで不用品を売買するサービスを行なうメルカリCEO・山田進太郎氏(21位)。早大在学中に楽天でインターンを経験。世界一周旅行などを経てメルカリを創業した。

 オンラインゲームを開発運営するコロプラ社長・馬場功淳氏は24位。近年はスクウェア・エニックスと共同開発した「ドラゴンクエストウォーク」が大ヒットした。

孫正義氏の誘いを断わった

 システム開発などを行なうオプティム社長・菅谷俊二氏(31位)は学生時代、ビジネスコンテストで、ファイルをダウンロードする待ち時間に動画広告を流すアイデアを披露。審査員だった孫正義氏から「そのアイデアを3億円で買う」と提案され、入社の誘いも受けたが「自分で起業する」と断わったという。

 若手経営者にはユニークな経歴を持つ面々が揃う。コロナ治療でも期待されるバイオベンチャーのヘリオス社長・鍵本忠尚氏(61位)は、九州大学病院に医師として勤務していた頃、難病に苦しむ患者を見て起業を志したという。

 法律相談サイトを運営する弁護士ドットコム会長・元榮太一郎氏(98位)は、名門事務所で弁護士として働いていた時に「もっと弁護士を身近にしたい」と同サイトを立ち上げた。2016年の参院選では、千葉県選挙区から立候補し、当選。自民党所属の議員として活動している。

 ライザップグループ社長・瀬戸健氏(63位)はダイエット事業で成功した。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が語る。

「高校時代、交際していた女性のダイエットに付き合って様々なアイデアを出したことが起業に役立ったそうです。ちなみにその彼女が痩せた途端に大学生に横取りされたことが悔しく、それをきっかけに瀬戸社長は一念発起して大学に合格したそうです」

 ランキングで最年少は31歳のPKSHA取締役・山田尚志氏(129位)。弁理士資格を所有する東大卒のエリートで、2012年に同社社長・上野山勝也氏(42位)とともに創業に携わった。

 森岡氏は若手ランカーの“危うさ”をこう指摘する。

「新興企業は株価の上下動が激しく安定株主の割合が少ないため、凋落する時は早い。さらに保有資産を大幅に伸ばす可能性がある一方、“一寸先は闇”となるかもしれません」

※週刊ポスト2021年1月15・22日号