大手企業の大株主といえば、創業経営者や金融機関などが思い浮かぶだろう。そこに時折、経営者の「妻」の名前が登場することがある。

 今回、上場企業約4000社の決算書や大株主の情報などを分析・検索する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力を得て、上場企業の有価証券報告書から個人の大株主を抽出し、保有株の時価総額で上位の150人をランキング化。2020年10月末時点の「新・株長者」ランキングを作成した。

 上位には、ソフトバンク会長・孫正義氏(1位・2.5兆円)、ファーストリテイリング会長・柳井正氏(2位・1.5兆円)といった有名企業の経営者が並ぶ。そうしたなか、上位150人のランキングには、20人の女性が名を連ねた。

 上位で目立つのが、冒頭でも触れた「経営者夫人」だ。ファーストリテイリング会長・柳井正氏の妻・照代氏(11位)に加え、楽天会長・三木谷浩史氏の妻・晴子氏(9位)、ニトリ会長・似鳥昭雄氏の妻・百百代氏(59位)らがその代表格。

 なぜ大物経営者は妻に株を持たせるのか。ビジネスリサーチ・ジャパン代表の鎌田正文氏が解説する。

「どんなワンマン企業も上場する際は、全ての株を1人で持つことはできません。株の流動性をもたらすため、創業者が筆頭株主になって妻や子供に株を分配するケースが多い」

 柳井照代氏は英語が堪能な才女で、海外の要人相手にユニクロの経営戦略を理路整然と述べることもあるという。

 米ボストン大学の修士号を持つ三木谷晴子氏は、三木谷氏と日本興業銀行時代の先輩・後輩の間柄。2001年に退任するまで楽天副社長として広報マーケティングや人事総務で辣腕を振るった。

 似鳥百百代氏は接客に長け、黎明期のニトリで売り上げに大きく貢献した。いずれも私生活だけでなく、経営の面でも夫を支えたパートナーである。

プロ野球球団を買収

 74位にランクインしたオービック相談役・野田みづき氏は、71位にランクインした同社の野田順弘会長の妻。野田氏にはっきりモノが言える存在として社内の信頼が厚く、ミッキーの冠名を持つ競走馬のオーナーとしても知られる。

 一代で名を成した「女傑」もランクインした。人材派遣業のテンプスタッフ社長・篠原欣子氏(38位)は米国の経済誌『フォーブス』で10億ドル(約1000億円)以上の資産を一代で築いた唯一の日本人女性として紹介された。

『経済界』編集長の関慎夫氏が「日本を代表する女性経営者」と絶賛するのはDeNA会長・南場智子氏(72位)だ。

「南場氏は自分らのサービスを世界基準にする野心がある。自動運転や医療分野など幅広く投資していますし、孫氏や三木谷氏のようにプロ野球球団の買収も仕掛ける胆力の持ち主です」

 36歳でランクインしたのが、ウォンテッドリーCEO・仲暁子氏(83位)。ネットを活用した求人サイトの事業で注目を集めている。

「京都大学を卒業し、ゴールドマン・サックスに入社した才色兼備の経営者として知られています。退職後に漫画家を目指すなど経歴もユニークです。失敗を恐れないタイプで、今後も新規事業をどんどん立ち上げると期待される」(同前)

 人材紹介業のジェイエイシーリクルートメント会長・田崎ひろみ氏(146位)はロンドンでの銀行勤務を経て、1988年に夫で最高顧問の田崎忠良氏(117位)とともに同社を設立。海外10か所に拠点を持ち、国境を超えた人材紹介業を行なう手腕はイギリス、アメリカなどで高く評価される。

※週刊ポスト2021年1月15・22日号