「残業断り、友人との誘いも断り…こんなことなら本業まじめにやるべきだった…豊かな生活どころか心身ともに破綻だ」

「副業破産」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

年収アップを目的に始めたものの失敗して収入増加どころか大損、本業にも支障をきたし、破産してしまう…という事態に陥ることがあるようだ。

自分や家族の生活を豊かにするために始めたはずの副業が、不幸の引き金になっては元も子もない。

今回は、副業で一攫千金を夢見たものの、実際は真逆の結果になってしまった会社員の末路について解説する。

■「片手間で稼げる」はずだったのに…副業投資で大損…!

「投資ならスキマ時間で稼げる。」

労力がいらない副業の手段として、投資を始める人がいる。今、資産運用の波が来ていることも「投資で副業」ブームの後押しになっているのだろう。

しかし、NISAなどの積立投資ならまだしも、信用取引やFXなど、テクニックが必要な投資に手を出すのは早計だ。

ある40代の会社員男性は2021年末、Twitterで「レバナス」というETF(上場投資信託)が人気であることを知った。アメリカのテクノロジー銘柄にレバレッジをかけて、幅広く投資する金融商品だ。

このレバナスに男性は500万円を投資したが、2022年にレバナスは大暴落した。1年間で約80%も下がり、男性の資産は500万円から100万円に減った。

■根回しやウェットな人間関係構築にヘトヘト……

「本業の人間関係に嫌気がさして副業始めたのに、もっと悲惨だった…」

出社が必要な副業の場合は特に、社風に気を付けたほうがいい。

「足の引っ張り合いだらけ」「パワハラ的な発言や行動が多い」そんな労働環境は、お金を払ってでも避けたい。

副業は本業以上に、職場の人間との距離感を絶妙に保つ必要がある。

リモートOKを第一条件とし、週・月に数回出社が必要な場合は事前に社風を確認しておこう。

■「副業準備金」として10万円ふりこんだのに連絡が…

「本業の片手間で100万円」「年収以上を稼げます」。このような謳い文句につられて副業の「準備金」として10万円を振り込み、その後連絡が途絶えたという被害があるらしい。「高収入な副業です」と銘打つ副業のほとんどは詐欺と考えてよい。

1万〜2万円程度の被害であれば「勉強代」と思えるかもしれないが、中には数十万円を振り込んでしまった人もいる。万が一、そのような詐欺に巻き込まれた場合は、弁護士に相談のうえで警察に被害届を出そう。

■副業破産する人の共通点

ファイナンシャルプランナーの目線でいうと、「副業破産」する人には共通点がある。

それは自分のスキル・体力を過信している・考えが甘いということだ。

「俺は仕事できるし、このスキルでもっと稼げるはずだ。」

副業に失敗する人には今のまま何もせず「とりあえず始めればもうかる」と思っているところがある。これは過信だ。

副業といっても「業=ビジネス」である以上、高い成果を出そうと思ったら相応の時間、お金、体力をつぎ込むことが必要になるだろう。

副業先を選ぶときの慎重さが足りない・選び方が間違っているという点も共通点といえるだろう。

副業先は、「儲かるかどうか」だけでなく「スキルアップできるか・成長につながるか」という観点で選ぶことが重要だ。

■副業だけでなく転職や投資なども選択肢に

副業の目的はさまざまだろう。

しかし単に収入や資産を増やしたいだけなら、副業にこだわることはないだろう。今の勤務先より給与の良い会社に転職したり、NISAなどの投資にチャレンジして手堅く資産を増やしたりすることも考えて欲しい。

重要なのは自分の性格や環境に合わせて最適な選択をすることだ。どうすれば自分や家族が心地よく、かつ豊かに暮らせるかを考えてみよう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。