日産・カルカモ氏インタビュー…「フォーミュラE参戦を通じ未来のEVユーザーに我々の先進性をアピールしていきます」

日産・カルカモ氏インタビュー…「フォーミュラE参戦を通じ未来のEVユーザーに我々の先進性をアピールしていきます」

日産がe.damsと手を組み、日本の自動車メーカーとして初めて参戦する、電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」。その第5シーズンがいよいよ、開幕の時を迎えた。それに先駆け、日産のフォーミュラE参戦プロジェクトとモータスポーツのマーケティングを統括する、日産自動車グローバル・モータースポーツ・ダイレクターのマイケル・カルカモ氏に、参戦の狙いと意気込みを聞いた。 REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)、遠藤正賢、日産自動車

11月30日に東京・銀座の日産クロッシングで展示された日産e.damsのフォーミュラE参戦マシン

−−このタイミングでフォーミュラEに参戦するマーケティング上のメリットは?

カルカモ 今回このタイミングで参戦するのは、新型2代目リーフを投入したのにマッチするということがあります。そのため、フォーミュラEとリーフの両方を介して「日産インテリジェントモビリティ」を訴求できます。

−−ルノーから日産に参戦ブランドが切り替わったという捉え方もできると思いますが、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェがそれぞれ独自に参戦するように、日産とルノーが両方とも参戦するという可能性はなかったのでしょうか?

カルカモ 可能かもしれませんが、ルノー側にその意向があったかどうかは推し量ることができません。ですが、ルノーが持っている知見を活用させてもらっているので、非常に強いアライアンスに基づいた取り組みと言えるでしょう。

−−フォーミュラEへの参戦コンストラクターはプレミアムブランドや新興メーカーが多いですが、日産は大衆車ブランドです。その中で「日産インテリジェントモビリティ」を訴求するというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?

カルカモ 「日産インテリジェントモビリティ」にはドライブ、統合、パワーという3つの柱があります。フォーミュラEを通じて、この3つの柱をベースにして我々の先進性をアピールしていきたいと考えています。そしてEVと、EVが持つパワーというのは、「日産インテリジェントモビリティ」の中核にあると思っています。

−−今シーズン、各チームが独自に設計できるのはどういった部分ですか?

カルカモ 今回新しいレギュレーションで設定されたのは、最高出力が250kWになったことです。ということは、今までとは全く違うマシンになるということです。開発できるのはモーター、インバーター、トランスミッション、そしてすべてのソフトウェアですね。

−−シャシーは共通ということですが、空力は自由に変更できるのですか?

カルカモ いいえ。空力はお客様の目には見えませんので…。

−−そこはF1などとは違うのですね。空力は各チームの個性を構成する要素だと思うのですが…。

カルカモ 仰る通りですが、EVのメリットを説明するうえで、空力の部分はカーオーナーになかなか理解してもらえないのです。

−−フォーミュラEに参戦することで、比較的若い層にアピールできるとお考えですか?

カルカモ はい、フォーミュラEを観戦する人は従来のモータースポーツファンとは違い、特に市街地で開催されるので、家族連れや子供が多いと思います。若い人たち、子供たちというのはまさに未来のEVユーザーになるので、そういう方たちとフォーミュラEを通じて共有できる部分は多いと思います。

−−5年後のフォーミュラEとF1はどうなっていると思いますか?

カルカモ それは重要な質問ですね。両方とも存在し続けてほしいと思いますが、フォーミュラEは市街地で開催するEVレースであり、また未来に向けてコミュニケーションを発信するようなものであっていてほしいと思います。F1はよりエンジニアリング面、空力やモーター、バッテリーに注力するレースになってほしいですね。フォーミュラEのマシンはずっとEVであり続けるでしょうが、F1はガソリン車ではなくなるかもしれませんね。

−−今回の参戦にあたり提携したテクニカルパートナーは?

カルカモ ニスモやルノースポールレーシングですね。2年前から取り組みは始めています。

−−他のチームはボッシュやシェフラーなどの大きな部品サプライヤーと提携していますが、日産さんはインハウスで取り組むということですね。

カルカモ 技術は非常に早く変化しますので、常に社内も社外もどういう状況かを探り、検討しています。ただ、フォーミュラEのレギュレーションは非常に安定していますので、まずはシーズン5〜7に注力します。その先のシーズンについては、ボッシュなどとの提携も考えるかもしれません。

−−カルカモさん自身はモータースポーツのファンですか?

カルカモ 12歳の時にラジコンカーに出会ったのが、最初のレース経験でした。日産に入社する前は5年間、メルセデス・ベンツ・レーシングでインディカーのエンジニアをしていました。

−−今シーズンの目標は? チャンピオンを取ることですか?

カルカモ レースの結果を予測するのは非常に難しいですね。ただ、お約束できるのは、最大限の努力をし、万全の準備をして、戦うのをやめないことですね。

−−フォーミュラEは中国など新興市場でどのように受け止められていますか? また、そうした場所で開催されることに対するメリットはどのようにお考えですか?

カルカモ 素晴らしい質問ですね! フォーミュラEは新興市場に対しても大変エキサイティングなものだと捉えています。現在中国など様々な国について、フォーミュラEに参戦した場合の効果を議論しています。またチリやメキシコでもレースをしていますが、フォーミュラEに参戦することで、一足飛びに未来を現実のものにすることができます、EVを導入するとメリットが大きい市場ですので。

−−我々は日本でもフォーミュラEを開催してほしいと願っていますが、マーケティング上は新興国の方がメリットがある?

カルカモ 私としては、横浜でフォーミュラEのレースができたら最高だと思っています。日本でレースをするのは非常に重要で、日産のものだけではなくEV技術そのものが日本に非常に多くありますので、フォーミュラEにとっても素晴らしいことだと思います。

スペイン・バレンシアにあるサーキット・リカルド・トルモで開催された公式プレシーズンテストの様子

−−これまでのテスト走行の手応えは?

カルカモ これまでの進捗には非常に満足しています。テストできる日数は15日間しかありませんので、きちんと評価できるか心配でしたが、シミュレーションもテストも終えることができて良かったと思います。ですから初戦に向けて準備はできています。

−−期待しています。頑張って下さい!


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