今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「メルセデス・ベンツ SL55 AMG」だ。

メルセデス・ベンツ SL55 AMG(2003年)

メルセデス・ベンツのフラッグシップ スポーツカーといえば、SL。以前に当時のトップグレードだった[SL500]に試乗したとき、「SLにはもっとスゴいグレードがある」と紹介したのだが、そのスゴい「SL55 AMG」が日本にもやって来た。

SL55 AMGはSL500をベースにAMGがチューンしたハイパフォーマンスモデルだ。AMGに関しては、クルマ好きの人たちには説明は不要だろう。メルセデス・ベンツのチューナーとしてレースなどで名を馳せたAMGは、現在はダイムラー・クライスラー(編集部註:当時の社名)に吸収され、メルセデス・ベンツの一部門としてハイパフォーマンスモデルを製作している。

エクステリアは、あまり大げさなドレスアップは施されていない。AMGがデザインしたフロントスポイラー、サイドスカート、リアバンパースポイラーに、22本スポークのアルミホイールを装着しているくらい。これ見よがしなリアウイングなどは装着しなくても、空力的には問題ないということなのだろう。

インテリアでは、SL500ではウッドパネルだったセンターコンソールなどにはアルミニウムを配し、専用デザインの本革スポーツシートやステアリングを装着し、SL500でも十分にスポーティかつゴージャスだったインテリアが、さらに上質なものに仕立てられている。

パワーユニットは、車名のとおり排気量は5.5L。これにインタークーラー付きスーパーチャージャーを装着し、最高出力は500ps! 最大トルクも71.4kgmと、SL500よりなんと194psと24.5kgmもパワーアップされている。組み合わされるトランスミッションは5速ATのままだが、ステアリングにはパドルシフトも備わる。

今回は短時間の試乗で高速道路をクルーズしただけだから、そのパフォーマンスの一端までも味わえたとはいえないだろう。だが、発進からわずかにアクセルペダルを踏み込んだだけでもハンパのないトルクで加速する。少し空いた道で、一瞬だけフル加速を試みると、メルセデス・ベンツには似つかわしくない轟音を響かせ、ものすごい勢いで身体がシートに押しつけられて加速を始めたので、すぐにやめておいた。

パワーアップに伴い、リアアクスルやブレーキは強化されているという。たしかに、ブレーキの効きはすごく良かった。電子制御サスペンションのABCもセッティングされ直しているそうで、SL500よりも硬さは感じるものの不快なレベルではない。

ヴァリオルーフを閉めてクローズドクーペにしても、開けてフルオープンにしても、スーパースポーツカー並みのパフォーマンスが味わえる。それも、メルセデス・ベンツとAMGによる高い信頼性もプラスされて。21世紀のスーパースポーツカーとは、こういうクルマになっていくのだろうか。

SL55 AMGの車両価格は、SL500より320万円高の1600万円。庶民レベルで考えるとSL500でも十分以上なのだが、さらなるパフォーマンスを求めるミリオネアには、このSL55 AMGでも満足しきれないかもしれない。

●■メルセデス・ベンツ SL55 AMG 主要諸元

●全長×全幅×全高:4535×1830×1295mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1970kg
●エンジン形式:V8・3バルブSOHCスーパーチャージャー・FR
●排気量:5438cc
●最高出力:368kW(500ps)/6100rpm
●最大トルク:700Nm(71.4kgm)/2750-4000rpm
●トランスミッション:5速AT
●タイヤ:前255/40R18、後285/35R18
●車両価格(当時):1600万円