70年代後半にコミカルな要素をカンフー映画へ取り入れ、一躍香港映画界のスターとして注目を集めたジャッキー・チェン。80年代には日本でも人気が急騰し、その後ハリウッドに進出。66歳を迎えた現在でもノースタントでアクションに挑んだり、さらには声優にも挑戦するなど、そのバイタリティは計り知れないものがある。本稿では、そんなジャッキーの出演作のなかから映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」で批評家の評価が高く、また日本国内の各動画配信サービスで視聴可能な10作品を一挙に紹介したい。

「ロッテン・トマト」とは、全米をはじめとした批評家のレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積したサイト。批評家の作品レビューに込められた賛否を独自の方法で集計し、それを数値化(%)したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”で表される。好意的な批評が多い作品は「フレッシュ(新鮮)」なトマトに、逆に否定的な批評が多い作品は「ロッテン(腐った)」トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されるように。映画館に掲示されたポスターに堂々と輝くトマトのマークを見たことがある方も多いだろう。


それでは、ジャッキー・チェン出演映画のフレッシュ作品10傑を挙げてみよう。
■96%フレッシュ『ポリス・ストーリー3』(92)
■93%フレッシュ『新ポリス・ストーリー』(93)
■93%フレッシュ『ポリス・ストーリー 香港国際警察』(85)
■88%フレッシュ『ポリスストーリー2/九龍の眼』(88)
■83%フレッシュ『酔拳2』(94)
■83%フレッシュ『プロジェクトA』(83)
■80%フレッシュ『レッド・ブロンクス』(95)
■79%フレッシュ『シャンハイ・ヌーン』(00)
■79%フレッシュ『ラスト・ソルジャー』(11)
■78%フレッシュ『サンダーアーム/龍兄虎弟』(86)


幾多の人気シリーズがあるジャッキーだが、そのなかでも刑事のチェン・カクー役を演じた「ポリス・ストーリー」シリーズが(異なる役を演じた『新ポリス・ストーリー』も含め)上位を独占する結果に。もっとも、ロッテン・トマトはアメリカの批評家からのレビューが中心となって構築されていることもあって、結果に多少の偏りが出てしまうことは否めない。というのも、とりわけ日本で人気の高い70年代〜80年代の作品群の多くが、アメリカでは当時小規模な映画祭などで上映されたきりということも珍しくなく、日本と比較するとリアルタイムで観ることができた作品が圧倒的に少ないからだ。

80年代に『バトルクリーク・ブロー』(80)でハリウッド進出を図り、その後『キャノンボール』(81)でその存在が認知されるようになったものの、なかなかハリウッドに浸透しなかったジャッキー。90年代も中頃になって『レッド・ブロンクス』で再注目を集め、その後クリス・タッカーと共演した『ラッシュアワー』(98)が大ヒットを記録。同作が契機となり、2000年代に相次いでハリウッド映画に出演するなど、ようやく世界的アクションスターの地位が確かなものになったのである。日本でもおなじみの『酔拳2』や『プロジェクトA』などは、その頃になってようやくVHSなどで日の目を見ることに。

そのなかでも、もっとも高い評価となる96%フレッシュを獲得したのは『ポリス・ストーリー3』。後に『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』(97)でボンドガールを務めるミシェル・ヨーと共演した本作は、前2作よりも圧倒的にスケールアップしたアクションが展開。ハリウッドでも受け入れられたのも充分に頷けるほどの出来栄えだ。ちなみに同作は香港公開から約1年後には限定的でありながらもアメリカ国内で劇場公開。一方、93%フレッシュを獲得したシリーズ第1作の『ポリス・ストーリー 香港国際警察』は数年のブランクを経てVHSリリースがされ、劇場で公開されたのは昨年になってからのことだ。

昨年春には「ラッシュアワー」シリーズの4作目が製作されるという噂が流れるが、その後関係者からそれを否定する声もあがっており、実際のところはいまだ不明のまま。一方、1作目が79%フレッシュとなかなかの高評価を獲得し、その後続編が製作された『シャンハイ・ヌーン』も、数年前から3作目となる『Shanghai Dawn』が作られるという話が度々取り沙汰されるが、一向に続報は届いていない。ハリウッドでの人気シリーズの最新作がそろって製作されることとなれば、またしてもジャッキー人気が再燃することは待ったなしだろう。

とはいえ今後もジャッキーの出演作は目白押し。WWEの人気レスラーで近年俳優としても活躍著しいジョン・シナと共演する米中合作のアクション大作『Project X-Traction』、 これまで何度もコンビを組んできたスタンリー・トン監督がメガホンをとる『Vanguard』、さらにはチェン・ボーリンやアンバー・クオが主演を務める『北京晩9朝5』にも出演。近年ではアクションなしのドラマ性の強い役柄にも挑んでいるジャッキーは、今後どんな活躍を見せてくれるのだろうか。

文/久保田 和馬