ユニバーサルのクラシックキャラクター“透明人間”を、最先端の技術でスクリーンに蘇らせたサイコサスペンス『透明人間』(7月10日公開)。本作の“恐ろしさ”を引き立てるのは、“透明人間=見えない存在”を相手に、しだいに狂気に取り憑かれていく主人公を体現したエリザベス・モスの演技力だ。今回、そんなモスの“すごさ“がわかる撮影中のエピソードや監督からのコメントが到着した。

『ゲット・アウト』(17)、『アス』(19)などの製作で知られるブラムハウス・プロダクションズと、「ソウ」シリーズの生みの親であるリー・ワネルが監督、脚本、製作総指揮を手がけた本作。富豪で天才科学者の恋人エイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)に束縛されていた主人公のセシリア(モス)は、彼の屋敷から決死の覚悟で脱出を果たす。しかし、その後エイドリアンが悲しみに暮れ自殺したことから、彼女の周囲では不可解な出来事が起きていく。

主人公のセシリア役に抜擢されたモスは、海外ドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」でゴールデングローブ賞主演女優賞、エミー賞主演女優賞を受賞。タイカ・ワイティティ監督作『Next Goal Wins』(20)や、ウェス・アンダーソン監督作『French Dispatch』(20)などへの出演も控えるなど、目覚ましい活躍を見せている。

本作では、恋人からの激しい束縛にひどく怯える姿から、透明人間からの執拗なストーキングや透明人間の存在をだれにも信じてもらえない絶望により正気を失い、まるで別人のように変貌していく様を見事に演じきっているモス。
監督のワネルは、透明人間が見えないぶん、優れた演技力を持つ女優を探していたそうで、「説得力のあるリアルな表現で、正気を失っていく女性を演じられる女優が必要だった。『ハンドメイズ・テイル』シリーズでは、ドラマの舞台であるディストピア社会に現実味を持たせられるかは、すべて彼女の手腕にかかっていた。だからエリザベスならセシリアを完璧に演じることができると確信していた」と、モスを起用した理由を明かす。

ドラマでの熱演が評価を呼び今回の主役を勝ち取ったモスだが、見えない存在を相手に一人で演技をすることには苦労もあったようで、「リー(監督)の方を向いて、“彼はどこにいると思う?”と聞くこともあった。透明人間がいることにまったく気づいていない時もあれば、存在を感じたり、音が聞こえて振り返ることもあった。もう30年も俳優の仕事をしているけど、こんな現場は初めてだった。でもほかの人には見えないものを見るというのは、私の本業とも言える。演技とはそういう仕事だから!」と充実した撮影を振り返っている。

狂気に満ちていくセシリアが、ラストシーンで見せる“最終進化”とは…。きらびやかな女優の仮面を外したモスの役者魂を、ぜひスクリーンでチェックしてほしい。

文/トライワークス