“第三の勢力”であるアメリカ軍によって都市博建設の代替地となった湾岸地区の爆破工作を行うこととなった桜井(安藤政信)。一方で鷹野(藤原竜也)は、風間(佐藤浩市)から“西東京案妨害計画”の証拠をすべて抹消することを命じられるのだ。28日に放送されたWOWOW連続ドラマ「太陽は動かない -THE ECLIPSE-」Final Episodeは、劇中の言葉を借りれば“ロマンチック”に、組織のなかで生きるしかない男たちの幾つもの思惑が交錯するエピソードであった。

“西東京案妨害計画”の証拠そのものである桜井と期せずして2度目の再会を果たした鷹野。桜井の“最後の作品”である爆弾は、湾岸地区を土壌汚染させるための物質が含まれているというのだ。そんな2人の前に、中国の組織から送り込まれた最強の刺客チーヨウ(松本実)が迫り来る。そんななか、もうひとつの証拠である永島(吉田鋼太郎)から桐野(柿澤勇人)にわたった中尊寺(石橋蓮司)と中国組織が通じていることを示すデータを抹消するため、風間は桐野のもとを訪れることに。

当初は劇場版である『太陽は動かない』が公開されてから、この連続ドラマ版が放送される流れとなっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で劇場版が公開延期。そのため連続ドラマ版→劇場版へと順序が入れ替わったわけだが、ある意味でそれはこの物語を楽しむうえで非常に効果的であったように思える。主人公である鷹野の人間性やエージェントとしての心得が、彼を育てた桜井との関係性を通して描かれたこと。またAN通信という組織の位置についても、この連続ドラマ版で描かれた都市博をめぐる複雑な利権争いのなかで顕在化していたこと。

なにより重要なことは、鷹野と田岡がバディを組むまでのバックグラウンドが描かれたことだ。山下(市原隼人)から鷹野のもとに来ることになった田岡は、鷹野とともにミッションを遂行し、その後単独行動のなかで落合(多部未華子)と出会い、エージェントとして生きる意味を見出していく。そしてFinal Episodeではチーヨウからの襲撃を受けた鷹野と桜井を助けに現れる。3人でチーヨウを倒し、とどめを刺すときには鷹野と2人で。この戦いと起爆装置の解除を通して、鷹野の“相棒”が桜井から田岡に代わったこと、つまり桜井から田岡に鷹野が“託された“のだと見える。

そしてラスト、山下の消息が途絶えたとブルガリアへ向かうことを命じられた鷹野と田岡。こうして劇場版へとつなげられていくというわけか。劇場版では全人類の未来を決める次世代エネルギーという極秘情報をめぐって、世界各国のエージェントたちが頭脳戦を繰り広げていく様が描かれていく。連続ドラマ版を凌駕するスケールと本格的なアクションが見どころとなるのはもちろん、正真正銘のバディとなった鷹野と田岡がどのような働きを見せるのかにも注目だ。劇場版『太陽は動かない』は近日公開される。

文/久保田 和馬